『レヴェナント:蘇えりし者』(C)2016 Twentieth Century Fox

レオナルド・ディカプリオ主演作『レヴェナント:蘇えりし者』が本年度の米アカデミー賞で作品賞、主演男優賞など最多12部門で候補になっている。さらに本作は、ゴールデン・グローブ、英国アカデミー賞、アメリカ撮影監督協会賞など数え切れないほどの映画賞で栄冠に輝き、アメリカでも動員でも成功を収めている。本作は一体、なぜそこまで映画ファンと批評家を惹きつけるのか? 監督、出演者たちが作品の魅力を語った特別映像が公開になった。

『レヴェナント:蘇えりし者』特別映像

本作は、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督と、ディカプリオがタッグを組んだ作品で、アメリカ西部の未開拓の荒野を旅する途中で熊にノドを裂かれて瀕死の状態に陥るも、仲間のジョン・フィッツジェラルドに置き去りにされてしまったグラス(ディカプリオ)が、自然の脅威に立ち向かいながら、死の淵から蘇り、約300キロもの旅をして、フィッツジェラルドに復讐しようと壮絶なサバイバルに挑む姿を描いている。

このほど公開になった映像にまず登場するのは、主人公グラスと息子、そしてフィッツジェラルドたちが船に乗って川を移動する場面を捉えた壮大な場面だ。重く沈んだ空、濁りきった川をゆっくりと進む船に乗り込んだ男たちは疲労に満ちた表情を浮かべているが、眼光はみな鋭い。イニャリトゥ監督は、まるで色が消滅してしまったような過酷な大自然に観客を放り込むため、徹底的に準備を重ねて撮影にのぞんだ。あるシーンでは90分間もの間、カメラをまわし続けて、複雑なシーンを撮影し、そんな状況下で“ドラマ”を描くために、ディカプリオを主演に据えた。監督は「レオは目だけですべてを語ることができる俳優だ。彼の演技は私の監督人生で初めて見るすばらしさだった」と語る。

ディカプリオ演じるグラスは映画の前半で熊にノドを裂かれており、声を出すどころか、息を続けることすら困難な状況にある。しかし、完成した映画ではグラスが何を考えているのか、なぜ死の淵から蘇ろうとするのかが観客にしっかりと伝わってくる。さらに、ディカプリオが「彼ほど力強い俳優はいない」と絶賛するトム・ハーディが強烈な演技でグラス=ディカプリオを追いつめ、スタッフが過酷な自然をリアルに描くことで、グラスの生への、復讐への“執念”がさらに深くなる。

本作は、キャストの演技、映像、重厚なドラマのすべてが高い評価を集めており、監督は「奇跡の芸術と演技の真髄を見られて、この上なく幸福だった」と撮影を振り返っている。

『レヴェナント:蘇えりし者』
4月22日(金) TOHOシネマズ 日劇ほか 全国ロードショー