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 親子、孫、ひ孫の4世代にわたる大家族のクリスマスの1日を、コメディータッチで描いた『クーパー家の晩餐会』が公開された。

 年に一度、クリスマスに集うクーパー家。だが今年は家族それぞれが笑顔の裏に秘密を抱えていた。母のシャーロット(ダイアン・キートン)と父のサム(ジョン・グッドマン)は離婚の危機にあることを、息子のハンク(エド・ヘルムズ)は失業したことを、娘のエレノア(オリビア・ワイルド)は不倫中であることを隠していたのだ。

 おまけに、シャーロットの妹のエマ(マリサ・トメイ)は万引きで捕まり、父のバッキー(アラン・アーキン)は遙か年下のウエートレスのルビー(アマンダ・セイフライド)に恋をして…。

 何とも騒がしい一家だが、こうした大家族映画の醍醐味(だいごみ)は、多彩な俳優たちのアンサンブルを楽しみながら、バラバラだった人間関係が一つの方向に収束していく変化を、登場人物の誰かに感情移入をしながら見られるところ。

 その点で本作は、同じく大家族を描いた『バックマン家の人々』(88)をほうふつとさせるが、あの映画に主演したスティーブ・マーティンが、本作ではクーパー家の“犬の声”としてナレーションを担当しているのも面白い。またクリスマス映画の古典である『素晴らしき哉、人生!』(46)からの引用も見られる。

 ところで、ジェシー・ネルソン監督は『I am Sam アイ・アム・サム』(01)ではザ・ビートルズの曲を挿入歌として使ったが、本作でも、オーティス・レディング、ボブ・ディラン、ニーナ・シモンらの曲を効果的に使っている。加えて、ミュージシャンとしても活躍するアーキン+グッドマン+ヘルムズによる楽器演奏のコラボレーション場面も見せる。というわけで本作は音楽も見どころの一つになっている。

 日本ではいささか季節外れの公開となった本作だが、『3人のゴースト』(88)の主人公が「毎日がクリスマスだと思えば楽しくなる」と言ったように、ウェルメイドなクリスマス映画は、いつ見ても楽しめるもの。本作もそんな一本だ。(田中雄二)