曲面デザインを採用した住宅用マルチエアコン「UXシリーズ」

ダイキン工業は、2月18日、ヨーロッパで好評のインテリアと調和するデザインを採用した住宅用マルチエアコン「UXシリーズ」を発表した。10月1日に発売する。

日本の住宅のデザインに対する意識は高まりつつある。機能性を重視してきたエアコンにもデザイン性を求める声は強くなっており、各社がこれまでにない形状やカラーの製品開発に取り組んでいる。

ダイキンの「UXシリーズ」は、風をイメージした曲面デザインの前面パネルを採用。左右に向かって薄くなってゆくフォルムは、実寸サイズよりスリムに見える。壁に溶けこむようなデザインで、インテリアとの調和を重視。吹き出し口が開いたときの見た目にもこだわりをもっており、まさにエアコンの姿を全方位的に設計し直した一台といえる。

空調営業本部 事業戦略室の谷内邦治 住宅用事業担当課長は「空調による感覚の心地よさだけでなく、視覚による心地よさを追求した。デザインとブランドを磨くことで『これでいい』ではなく『これがいい』といってもらえるエアコンを目指す」と狙いを説明。「箱だけでなく、空気そのものをデザインする」というコンセプトのもと、設計された新製品を紹介した。

ダイキンのデザインに対するアプローチは2006年に始まった。国内最大のデザインイベント「デザイナーズウィーク」に、薄型を売りにしていた当時の「UXシリーズ」を出品したのを機に、これまでと異なるエアコンの形を模索するようになる。「感性に訴えるデザイン」という新製品の根幹にある考えは、10年かけて熟成されてきたものだ。

今回のデザインを担当したのは、ドイツと日本に拠点を置く「イエローデザイン」のアレキサンダー・シュラッグ氏。日用品から空間まで幅広い領域でデザインを手がけ、数々のデザイン賞を受賞した経歴をもつ。発表会に登壇したシュラッグ氏は、「空気の専門家であるダイキンのブランドイメージを高めるに“The sense of DAIKIN”ともいえる唯一無二のプロダクトに仕立てる必要があった」とコメント。「われわはエアコンというデバイスがほしくてエアコンを買うのではない。『UXシリーズ』がイメージしたのは『風』。デバイスと意識させず、心地よい空気の満ちた空間を提供する」とデザインに込めた思いを語った。

もちろんデザイン性だけでなく、快適性能も追求している。風が直接当たりにくくするために上下の吹き出しを自動制御する「風ないス」運転に加えて、左右への吹き出しを自動制御する人感センサーを搭載。人がいないエリアに風向を調整し、直接風が肌に当たることを避ける。

1日4パターン、1週間の曜日ごとに運転プログラムを設定できるウィークリータイマーも装備。起床や帰宅の前にエアコンを起動し、前もって快適な空間を整えることができる。

住宅用マルチエアコンとしての強みを生かして、あらゆるニーズに対応できることも特徴だ。1台の室外機で最大5台の室内機に接続可能。既存のビルトイン室内機と組み合わせることができる。床暖房と連動する機能を利用すれば、室内の快適温度に達する時間を約1/2に短縮することも可能だ。

カラーはホワイトとシルバーの2色。価格は2.2kWクラスのC22RTUXV-W(S)が13万円、2.8kWクラスのC28RTUXV-W(S)が15万円、3.6kWクラスのC36RTUXV-W(S)が17万5000円、4.0kWクラスのC40RTUXV-W(S)が18万5000円、5.0kWクラスのC50RTUXV-W(S)が22万円。