入念な調査が“物語”を生む。ピクサーの創作術

2016.2.23 10:20配信
『アーロと少年』 (C)2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

来月、ディズニー/ピクサー最新作『アーロと少年』が公開になる。本作は、迷子になってしまった怖がりの恐竜アーロと、天涯孤独の少年スポットが出会い、心を通わせながら冒険を繰り広げていく姿を描いた作品だが、このストーリーが生まれる過程で“リサーチ”が重要な役割を果たしたという。

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どんな映画でも、制作準備の段階で様々な調査を行う。調査をしながらロケ地を探したり、セットや衣装、小道具をデザインする際に参考になるデータを収集するためだ。しかし、ピクサーにとって調査は映画作りの“根幹”をなすプロセスで、サンフランシスコのピクサー・アニメーション・スタジオの壁には“ストーリー・イズ・リサーチ”と書かれている。

『アーロと少年』は、地球に巨大隕石が激突せずに、恐竜が生き延び、彼らと人間が共存している地球が舞台になるため、スタッフは当然のように恐竜の骨格や生態、古代の植物や地球環境について徹底的にリサーチを行った。他のアニメーションであればこれで十分だが、ピクサーのメンバーは“見知らぬ土地で途方に暮れてしまうこと”を味わうために、アメリカ北西部のオレゴン州やワイオミング州に出向いたという。プロデューサーのデニス・リームは「何の前触れもなくいつ何が起こるか分からない心細く不安な気持ちを味わいたかったのよ」と振り返る。

彼らが向かった先は、道路から5時間かかる場所で、携帯電話がつながる場所には10時間もかかってしまう“大自然のど真ん中”だ。そこで彼らは自然の様子を調査しながら同時に、“大自然の中でひとりぼっちになる気持ち”についてリサーチを行った。仲間や家族から離れて過酷な自然の中に放り込まれたとき、強い風や揺れ動く木々はどう見えるだろうか? 雨が降ったらどれほど心細いだろうか? そして夜になったら……。監督のピーター・ソーンは「とても恐ろしくて怖い体験だった。人里離れた渓谷では、いつ何が起こるかわからないことを学んだよ。でもこの体験をアーロの描写に反映させたんだ」と語る。

主人公の恐竜アーロはそんな孤独な状況で、人間の少年スポットに出会う。スポットもまた、家族を失い、孤独を味わってきた少年だ。怖くて、心細い状況でやっと出会えた同じ境遇のふたり。恐竜と人間の垣根を超えて、アーロとスポットが絆を深めていくストーリーの裏側には、どんな小さなことでも手を抜かず、調査を通じて自分の眼で確かめ、最高のクオリティを追求しようとするピクサーの“こだわり”が息づいている。

『アーロと少年』
3月12日(土)全国ロードショー

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