エレクトロラックス 、「魅せデザイン」の秘密はスウェーデン本社に

2016.2.24 15:58配信

春の新生活シーズンに向けて、家電量販店の売り場ではスティック型クリーナーのコーナーが人気だ。部屋に出しっぱなしにしていても住空間にマッチするデザインが特徴のエレクトロラックスの「エルゴラピード・リチウム18V」は、以前の記事でも紹介したように、ユーザー同士がSNSを通じて「魅せ家電」として見せ合っている。

・贈り物に「魅せ家電」はいかが、インテリアに調和する「エルゴラピード」

今回は、その取材時にお世話になったエレクトロラックス・ジャパンのスモールアプライアンス事業部トレードマーケティングの室井崇裕部長に、エレクトロラックス製品の「魅せデザイン」を育んでいる北欧のスウェーデン本社の様子を聞いた。

●歴史と最新のカルチャーが融合する社風

日本からの直行便は少なく、パリやアムステルダムを経由して飛行機で12~19時間かかるスウェーデンは遠い国に思える。だが、毎年開催されるノーベル賞の授賞式や晩餐会が開催される国といえば、身近に感じるだろう。

スウェーデン王立科学アカデミーが発表した2015年のノーベル賞物理学賞では東京大宇宙線研究所長の梶田隆章教授ら2名、ノーベル医学生理学賞では北里大学の大村智特別栄誉教授ら3名が受賞するなど、ここ数年、ノーベル賞における日本人の活躍が目覚ましい。その受賞をたたえて開かれる晩餐会の会場となるのが、スウェーデンのストックホルム市庁舎だ。エレクトロラックス本社は、その市庁舎がある中心部の近郊にある。

エレクトロラックス本社の建物はもともと9階建ての病院だったそうだ。外観はストックホルム市庁舎のような落ち着いたたたずまいで、建物の中は洗練された内装に改装してある。本社機能に加えてショールームやデザイン部門、R&&部門、品質保証のテストを実施するラボなどを備える。社員向けのレストランやカフェテラスのほか、バーやジム、サウナまで完備しているという。

室井部長はストックホルムの街並みについて次のように語る。「歴史的な建造物が立ち並び、街全体に調和が保たれて落ち着きがあるが、建物の中に一歩入ると若者のファッションで人気のH&Mが入っていたりする。歴史と最新のファッションやトレンドが調和している」。本社の建物も、そんなストックホルムの街並みと同じように、新旧のインテリアやデザインとうまく融合している。

こうした新旧カルチャーの融合は、エレクトロラックスにも根づいている。エレクトロラックスの歴史は古く、世界初の家庭用電気掃除機「LUX1」を世に送り出したのは1912年のこと。れっきとした100年企業なのだ。

2001年には世界初のロボット掃除機を発売し、2004年にはコードレス・スティック型掃除機の「エルゴラピード」が誕生。新しいマーケットを創造する製品を開発するイノベーション精神と、コードレス・スティック型掃除機に見られるように、10年以上のノウハウを蓄積する継続力を兼ね備えている。「エルゴラピード」の日本での累積販売台数は100万台を超え、世界では累計1000万台に達した。

●クラフトマン・シップのエンジニアたち

室井部長は本社のエンジニアについて「職人技というかクラフトマン・シップのようなこだわりをもって熱く語る人が多い。ニット製品や陶器、ジュエリーなどで有名な伝統工芸品が多く存在するスウェーデン人の気質と関係があるのでしょうね」と語る。

例えば、本社のラボには製品から出る騒音を細かくチェックするための施設がある。高級ピュアオーディオ製品の音響チェックに使われるような設備で、あらゆるノイズをチェックすることができるという。

あるいは逆に、製品から出る音がどのように反響するのかを測定できるラボもある。後述するが、長い時間、家の中で過ごすことが多いスウェーデン人にとって、ノイズは耐え難い。掃除をする際に、部屋の壁や家具に反響して不快な音とならないか、ラボで徹底的に検証しているのだ。

スウェーデンの冬季は日照時間が6時間しかなく晴れの日が少ない。家の中で過ごす時間が長いため、宅内の空間はできるだけ明るく、快適に過ごしたいという思いが強い。まさに、部屋に出したままでも美しく、掃除機の基本性能である吸引力も強い「エルゴラピード」の設計思想と通じているのだ。

●靴を脱いで暮らす文化など日本との共通点が多い

本拠地のスウェーデン国内では、エレクトロラックスの掃除機のシェアは6割を超え、国民的なブランドとなっている。掃除機以外にも、コーヒーメーカーやミキサー、ブレンダーなどの調理家電やビルトインの食器洗い乾燥機など、エレクトロラックス製品を日常的に使うユーザーは多い。同社の製品を専門的に扱う直営店は、スウェーデン国内に52店舗を数える。

日本で北欧雑貨のデザイン人気が高いように、日本とスウェーデンでは、デザインの感性で共感できる部分が多いのかもしれない。

この点について室井部長は、スウェーデンでは外国に珍しく家の中で靴を脱いで暮らす文化であることを指摘する。「靴を脱いで暮らす生活は、室内を清潔に保ちたいという欲求が高まる。世界でもキレイ好きで知られる日本人と相性がいいのでしょう」。

実際、日本のユーザーの要望をグローバルモデルの共通仕様に採用した事例もある。それが特許出願中の「ブラシロールクリーン機能」。床ブラシに絡まった髪の毛を取り除くのが面倒だと思うユーザーは多い。「ブラシロールクリーン機能」は掃除中にヘッド部のスイッチを足で踏むだけでブラシに絡まった髪の毛や糸ゴミをカットして吸引する。メンテナンスが楽になるだけでなく、ブラシのからまりによる吸引力の低下が抑えられる一石二鳥の機能だ。

ほかにも、布団掃除専用ノズルや、ソファなど布製の家具を掃除する布用ノズルをアタッチメントに採用するなど、室内で靴を脱いで暮らす日本発のアイデアが、スウェーデンの会社の製品に反映されている。

エレクトロラックスの本社の様子を知ると、「エルゴラピード・リチウム18V」の「魅せデザイン」が、スウェーデンの生活習慣や文化から生まれたことや、そのデザインが日本人に受け入れられる理由が分かったような気がする。(BCN・細田立圭志)

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