CP+を主催するカメラ映像機器工業会(CIPA)の笹宏行 代表理事会長

2月25日、横浜市のパシフィコ横浜で総合的カメラ映像ショー「CP+2016」が開幕した。開幕初日は、主催するカメラ映像機器工業会(CIPA)の笹宏行 代表理事会長が「4K・8Kが変えるカメラ映像機器市場」と題し、キーノートスピーチを行った。

まず、カメラ市場の現状について、笹代表理事会長は「スマートフォンの普及で、コンパクトカメラの必要性が低下し買換え頻度も下がった。さらに、各社が高付加価値コンパクトに軸足移しており、普及モデルが少なくなり、出荷台数は減少を続けている。一方、レンズ交換型カメラは、2015年で出荷台数の減少に歯止めがかかりつつある。カメラの年間出荷金額では1兆円規模を維持している」と語り、カメラ市場は構造を変えながらも底堅く推移していることを強調した。

購入者属性については「14年から15年にかけ、20代以下の若年層が増えた一方、30代以降が減少傾向にある。男女では、女性の購入者数がほぼ横ばいである一方、男性の購入者が減少している」と分析。しかし、CP+の来場者数が増加傾向にあることや、インターネットの検索ワード分析の結果でレンズ交換型カメラの検索数が横ばいを続けていることなどを引き合いに出し、「カメラ愛好家数が減っているわけではない」と語った。

こうした現象について笹代表理事会長は「特に30代以上の男性で、一眼を使っているような人たちは、この2年ほど、買換えや買足しの機会が減少しているのではないか」と語り、「製品自体の魅力が足りないか、伝える努力が足りないかのいずれか」と、伸び悩む市場の原因を分析した。

4Kや8Kテレビの普及がカメラ・映像機器市場にもたらす影響についていては、「カメラの動画撮影機能に影響を及ぼすくらいとみられがちだが、それだけではない」として「高精細画像に対する感性を一変させる可能性があり、テレビが、写真を見る最高のメディアになる可能性を秘めている」と指摘した。

4Kや8Kテレビには「高解像」を中心とし「立体感」「広い色域」「広い諧調表現」「滑らかな動き/クリアなストップモーション」の五つのメリットがあると説明。これらが写真表現を大きく変えるとの見方を示した。また、「モノを買うのは、必要に迫られたときと、これまでの製品とは違う喜びや感動を味わったとき。現在の製品ではこの感動が示せていなかったのかもしれない」としながら、4Kや8Kテレビの普及は「これまでとは次元の違う高画素数ディスプレイによって、より高いリアリティで意図を表現できるようになる。カメラにとっての新たな市場創造と活性化の機会だ」と結んだ。