なぜ人は浮気をするのか

決まったパートナーがいるのに、なぜ人は他の異性に惹かれるのだろう。もしも完璧に相手に満足していたら、他には目が向かないかもしれない。

だが、そんな人は皆無に近いはず。しかも、どんなに満たされていても、それが当たり前になってしまえば、また何か別のものを求めたくなる。人間は常に「ここではないどこか」を求める生きものなのではないだろうか。

他の人と接すると、パートナーとの間では味わえなかった感覚がある。それはセックスのみならず、自分の中に封印されていた感情だったり、思いがけない表れた「いつもとは違う自分」だったりする。それはとても新鮮で、とても楽しいことなのではないか。

だからこそ、「いけない」とわかっていながら、パートナーではない「誰か」と会ってしまう。裏切っているという自覚があるかないかはわからない。ただ、漠然とした罪悪感はもっている。

人間はやっかいなものだ。安定していれば不安定な関係を求め、不安定な関係が続くと安定を求めたくなる。そうやって振り子のように行ったりきたりしながら、人生は進んでいくものなのかもしれない。ただ、いつか人は何かを「決定」しなければいけない局面にぶつかる。

ドラマの中の智子と裕一のように。追いつめられても、なお何かを先送りにしながら生きていこうとするふたりだが、時間は優しいようで残酷、残酷なようで優しいものだ。人間は、少しずつ、何かを決定する方向に時間によって導かれていくのかもしれない。

明治大学卒業後、フリーライターとして活動開始。主な著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『不倫の恋で苦しむ女たち』『復活不倫』『婚外恋愛』『妻と恋人』『恋が終わって家庭に帰るとき』『妻たちのお菓子な恋』など。HP:http://www.viofatale.com/index.html

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