「もう一度、映画の原点に戻れる作品ができたと思う」と語ったビートたけし

 映画『女が眠る時』の初日舞台あいさつが27日、東京都内で行われ、出演者のビートたけし、西島秀俊、忽那汐里、小山田サユリ、ウェイン・ワン監督が登壇した。

 本作は、『スモーク』などのワン監督が、初めて日本人キャストを使って製作した魅惑のミステリー。「第66回ベルリン国際映画祭」のパノラマ部門にも正式出品された。

 ベルリン映画祭に参加できなかったたけしは「俺も行きたかったけど、山梨のラドン温泉の営業が入っていてどうしても行けなくて…」と冗談交じりにこぼし、笑いを誘った。

 映画祭の会場では“たけしのビデオメッセージ”がサプライズで流されたという。映画祭に参加した西島は「北野さんが『飛行機代がないから“シベリア超特急”に乗って…』というところでみんなが大爆笑していました」と観客の反応を報告した。

 たけしは「ベルリンにはよく誘われるんですけど、どういうわけかスケジュールが合わなくて…やっぱり1年前から準備しなきゃ駄目だな」と残念がった。

 また、難解とされる本作については「私自身、一体どのように解釈したらいいか分からなくなって、たまに評論家の言っていることを(取材で)そのまま答えたこともあった」と正直に語った。

 それでも「アクションとか、一方通行的で楽な、考えさせることのないエンターテインメントがじゃんじゃん出てくるこの時代に、ウェイン監督はよくぞこの映画を作ってくれた。もう一度、映画の原点に戻れる作品ができたと思う」と胸を張った。

 最後のあいさつでも、たけしは最近の邦画界に対し「あまりにもエンターテインメント重視。“何人お客が入ったか”ということばかりで、遊園地のような映画がもてはやされる。(見た後に)何時間も討論できるような映画を片一方ではちゃんと作っていかなければいけない」と訴えた。

 しかし「そう言いながらも『アウトレイジ』をしようとしている自分が恥ずかしい。どうもすみません」とたけし節で締めくくり、会場を盛り上げた。