ダイエットといえばつらい食事制限やハードな運動がつきもの。何かを我慢したり、犠牲にしたり、常に罪悪感や挫折感と隣合わせ…。ダイエットにそういったネガティブなイメージを持っている方は少なくないのでは。

「自分の体重を適正体重に戻したり、それを維持したりする行為がダイエットです。

体重を左右するのは意志の強さではなく、食べ物の摂取や消化、吸収、運動や代謝などの生理学的なメカニズム。つまり、生理学的な仕組みを変えてしまえば、むやみに食べすぎることなく、ダイエットそのものに悩む必要もなくなるのです」

こう話すのは、話題のダイエット本『脳と睡眠の仕組みでみるみるヤセる!ストレス0(ゼロ)ダイエット』著者で、作業療法士の菅原洋平さん。本書の内容を元に今日からでも実践できるストレスゼロダイエットを教えていただきました。

食べすぎていないのに太るのは「生体リズム」が関係していた

本書では「なんとなく食べてしまう」「エンドレスに食べてしまう」「夜にガリガリしたもの(おせんべいなどの硬いもの)を食べてしまう」「ヒマだから食べてしまう」という4パターンの食べ方をやめる方法が紹介されています。

ここでは、中でもダイエッターのお悩みとしてよく聞く、「エンドレス食べ」にフォーカスして教えていただきます。

職場でランチの後、なんとなくお菓子をちょこちょこつまんでしまう。夕食をとり終えてから寝るまでに、なんとなく目についたものを食べ続けてしまう。そんなお悩みは菅原さんの元にもよく寄せられるそうです。

確かに1日に余計なカロリーを摂取しているから、当然太ってしまう、と考えることもできますが、太るのは決して簡単なことではないと菅原さんは言います。

たとえば、人は1kgの脂肪を蓄積するのに、9400kcalのエネルギーを過剰に摂取する必要があります。

一般的なオフィスワーカーの平均カロリー消費量は2100kcal/日。1日に約1000kcal余分に摂取した場合、1日3100kcal摂取する計算になります。

結果、脂肪が1kg蓄積するのに約10日かかり、10kg増えた場合は単純計算で100日かかったことになります。つまり太るのにも時間はかかるわけです。

一方で、現代人の平均エネルギー摂取量は、2009年のデータで1861kcal/日。戦後(1946年)は1903kcal/日だったので、当時と比べると減ってはいます。平均カロリー消費量よりも少ないため、本来は太らないように思えます。

しかし、食べ物の摂取量が少ないのに太ってしまう理由は、「生体リズム」が大きく関係していると菅原さん。

人は夜が更けてくると眠くなり、朝になると目が覚めます。朝・昼・夜と、日々おおよそ決まった食事時間に空腹を感じ、何かを食べたくなる。私たちの体には、そんなふうに決まった周期で体の働きを変動させる、生体リズムが備わっているのです。

この生体リズムは時間帯によって、ある行為の影響をまったく違うものにしてしまうといいます。

脂肪が蓄積しやすくなる「魔の時間帯」を避けて食事を

『脳と睡眠の仕組みでみるみるヤセる!ストレス0(ゼロ)ダイエット』より

「脂肪細胞の働きを調節するBMAL1というものがあります。コレステロールの合成を活発にしたり、脂肪酸の分解を抑えて細胞の中に脂肪がたまりやすくしたり、といった働きを持っているのです。

人間のBMAL1の1日のリズムは、午前中から15時頃までが量が少なく、18時以降は急激に高まります。15時に対して22時の時点では約5倍にもなっているのです。15時に食べたものに比べて、22時に食べたものは、脂肪が5倍増えやすくなるともいえるのです」

恐るべき魔の時間帯には、同じものを食べても脂肪が増えやすくなる、ということ…。この生理学的なメカニズムを押さえておくだけで、太らない食べ方を実践できるようになります。「魔の時間に食べずに痩せる方法」を3つ紹介いただきました。