品切れが続出するほど、爆売れしているセイコークロック「C3(DL205K)」

家庭やオフィスで目にしない日はないデジタル時計。定番といえるこのジャンルにいま、次世代の波が押し寄せている。発端は、セイコークロックの交流式デジタル電波時計「シリーズC3(シースリー)」だ。

2014年2月の発売以来、口コミで評判が拡散し、店頭で品切れが続出するほどの大ヒット。新生活のスタートを前にしたこのタイミングで、さらに勢いは増している。「C3」は標準電波を受信して正しい時刻に自動修正する電波時計。秒単位で正確な時刻を知ることができ、時計としての性能は申し分ない。しかし、売れている理由はそれだけではないようだ。「たかがデジタル時計に指名買い?」という疑問に応えるため、「C3」の爆売れの理由を検証してみた。

●目玉は流麗なグラデーション表示モード、予想以上の美しさにうっとり

「C3」の最大の特徴は、時刻・カレンダー・温度・湿度を表示する文字色を自由自在に変更できること。公称では70色の切替えが可能だが、RGBで表現できる色ならば、どんな色も描写可能。実質、無限色の表現が可能といえるだろう。

色を固定するモード以外に、色が刻々と変化するグラデーションモードを用意。「生活空間でのグラデーション表示は落ちつかないのでは?」との先入観があったが、実際に見てみると、シームレスかつ自然な色の変化にすっかり魅了されてしまった。落ちつかないどころか、逆にずっと眺めていたくなるような安心感! まさに“流麗”という言葉がぴったりくる趣で、固定ファンがつくのもうなずける。

明るさの調整では強弱がつけられるので、枕元に置いても問題なさそうだ。明るさを抑えても、暗闇のなかの文字は鮮明で、夜中にうっかり起きてしまったときにもさっと時刻を確認できた。

生活空間への配慮と美しさを絶妙なバランスで両立させたグラデーション表示が、目玉機能として人気であることは、実物を体感して十分に納得できた。しかし、大ヒットの秘密はこれだけではないはず。実は、同様のグラデーション表示機能を備えた類似製品は、「C3」発売後すでにリリースされているが、「C3」の売れ行きはとどまることを知らない。その秘密を探るために、今度は類似製品と細かい部分を比較しながら「C3」の魅力に迫ってみた。

●比較して納得! 「C3」の指名買いが相次ぐ理由

比較するのは、RHYTHMが発売する「Iroria(イロリア)」。「C3」と同様にグラデーション表示が可能な交流式デジタル時計だ。黒いベゼルと画面に時刻・カレンダー・温度・湿度を多彩な色で表示することができるという点は、「C3」とまったく同じ。固定色モードの印象は若干異なり、一色のくっきりした文字表示の「C3」に対して、「Iroria」は色を固定しているときにも文字の上下でわずかに濃淡がついている。

まず、分かりやすい差異は「USBジャックの有無」だ。「C3」は本体の側面にUSBジャックを搭載しており、スマホやタブレット端末をダイレクトに充電できる。「コンセントがあるから、直接スマホを時計に接続する必要はないんじゃ……」と考えてしまうが、実際の生活空間を想像してみると事情が変わってくる。

タコ足配線でも使用しない限り、一か所のコンセント口数は基本的に二つ。リビングならテレビ、寝室なら間接照明などに割り当てることを考えると、残りは一口。ここに交流式のデジタル時計を接続すると、もうスマホを充電するためのコンセント口はなくなってしまうのだ。

フル充電ができない機種もあるようだが、実際に使用してみると、極めて便利かつ実用的な機能であることがよく分かる。

次に検証したのは、文字の見えやすさだ。本体と平行目線で文字盤を見る分には特に視認性に差はない。問題は壁にかけた場合だ。

「Iroria」が置き&壁かけ兼用のスタンスで1機種を展開しているのに対して、「C3」は置き対応タイプを3機種、壁かけ対応タイプを1機種のラインアップにしている。1機種で兼用の方がお得感はあるのだが、注意したいのは「置き」と「壁かけ」で最適な視野角が異なるということ。置き時計の場合、液晶画面はやや斜め上から見る角度がもっとも見やすく、かけ時計の場合は逆に下から見上げる角度がもっとも見やすい。

両者を壁かけで比較すると、差は一目瞭然で、壁かけ対応タイプの「C3(DL208W)」が平行目線で見るのと変わらぬ見やすさを維持しているのに対して、「Iroria」は文字が暗くなり見えにくくなっている。

この検証では、見やすさだけでなく、デザインにおける差異も見つかった。それは本体とコンセントをつなぐコードだ。ケーブルとケーブルの接続部がL字型になっている「Iroria」に対して、「C3」は接続部が目立たず見た目がスマート。ケーブルの色も異なる。「Iroria」のコードは黒だが、「C3」は白。一般的に壁の色の多くが白系統であることを考慮してのこと。実際に、壁かけ対応モデル以外の「C3」のコード色は黒で統一されている。こうしたインテリアへのきめ細かい気遣いも「C3」が選ばれる要因だろう。

●インテリアや用途に合わせて選択できる豊富なラインアップ

先述したが「C3」は、すっきりとしたデザインのスタンダードモデル(DL205K)のほかに3機種を用意する。色と用途別に種類分けされており、ニーズに合わせて妥協のない選択ができる。それぞれのモデルの特徴から、最適な設置場所と用途を考えてみた。

まずは、スタンダードモデルのカラバリ機である「DL205W」。黒で全体を統一した「DL205K」に対して、こちらはベゼルから本体カラーまで白で統一。清潔感のある佇まいは、明るい色味のインテリアで揃えた部屋に合いそう。暖色系の文字色を使用すれば、部屋全体の温かみが増しそうだ。逆に暗い色でシックにまとめた部屋に設置すれば、アクセントとしての役割をはたすだろう。

少しリッチなモデルを所望するなら、台座付きの「DL207S」がおすすめだ。シルバーの台座は高級感があり、存在感も抜群。家の顔である玄関に設置しても見栄えがする。液晶画面のサイズもスタンダードモデルと比較すると若干大き目。新居や新婚祝いのプレゼントとして贈呈する人も多いそうだ。

比較でも使用した壁かけ対応モデルの「DL208W」は、遠くからでも文字盤がしっかり見えるように大きな液晶画面を採用。視野角が見上げる角度に最適化されていること、白い壁になじむようにコードも白くしていることは、検証で紹介した通りだ。時刻・カレンダー・温度・湿度にプラスして、六曜表示に対応していることも特徴で、日めくりカレンダー代わりに壁にかけるのもありだ。

春から新居で生活をスタートする人、インテリアを変更して気分を一新したい人は、ぜひ一度「C3」を店頭で実際に見て、触ってほしい。「たかがデジタル時計、されどデジタル時計」ということを実感できるはずだ。(BCNランキング編集部・大蔵 大輔)