ヴィスコンティと美しき男たち

巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の名作『山猫』の4Kバージョンと、『ルートヴィヒ』のデジタル修復版を上映する特集“ヴィスコンティと美しき男たち ~アラン・ドロンとヘルムート・バーガー~”の予告編映像が公開になった。痛んでいたフィルムを丁寧に修復/復元した映像で、息をのむような色彩、デティールで名作を楽しむことができそうだ。

その他の画像/復元された映像が公開

『山猫』は、シチリアの名門貴族の栄華と終焉を圧倒的なスケールで描いた作品で、2010年には、マーティン・スコセッシが設立したザ・フィルム・ファンデーションが1万2千時間をかけて褪色したフィルムを復元。今回は初の4K素材での上映になる。本作は、フェデリコ・フェリーニと繰り返しタッグを組み、『ひまわり』や『オール・ザット・ジャズ』も手がけたジュゼッペ・ロトゥンノが撮影を担当したが、このほど公開になった予告編でまず驚かされるのが、鮮やかな色彩だ。時間のかかる復元作業を経た映像は息をのむほどの美しさで、特に“赤”の表現に注目だ。さらに舞踏会のシーンの装飾やドレスなどの細部もボヤけたり、つぶれたりすることなくハッキリと描かれており、この素材がスクリーンに映し出される日を待ちわびるファンは多いのではないだろうか。

18歳で即位した美しくも孤独な王ルートヴィヒII世の狂気を描いた『ルートヴィヒ』は、デジタル修復版での上映で、フィルムならではの質感を残しつつ、キズやゴミ、変色のない映像。陰影にとんだカットも美しく復元されており、重厚な映像美をじっくりと堪能できる。

ヴィスコンティと美しき男たち ~アラン・ドロンとヘルムート・バーガー~
『山猫』(1963年/イタリア=フランス)
『ルートヴィヒ 完全復元版』(1973年/イタリア=フランス=西ドイツ)
5月14日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開