歌舞伎ファン800人を前に鏡開きを行う中村雀右衛門

 中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露「三月大歌舞伎」初日公演が3日、東京都内の歌舞伎座で行われ、開演前に雀右衛門が正面玄関前であいさつした。

 昭和・平成の歌舞伎界で名女形として活躍し、平成3年には重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定、平成16年には文化勲章を受章した父・四代目中村雀右衛門から、女形の大名跡を次男である芝雀が五代目として襲名する。

 朝早くから集まった歌舞伎ファン800人の前に登場した雀右衛門は「襲名披露興行の初日に、大勢の皆様にお越しいただきありがとうございます」と感謝を述べ、「襲名披露興行を発表して1年と数カ月、本日やっと初日を迎えることができまして、大変緊張しております」と胸の内を語った。

 さらに「中村雀右衛門の名に恥じぬよう、舞台並びに芸道に精進させていただきたい所存でございますれば、どうか皆様ごひいきにお願いいたします」と固い決意をのぞかせた。鏡開きも行い、最後は「皆様のご健勝と歌舞伎がこの後ますます栄えますようお手を拝借、締めさせていただきます」と雀右衛門の手締めでファンから大きな歓声を浴びた。

 襲名披露狂言「鎌倉三代記」「襲名披露 口上」「金閣寺」の演目では、雀右衛門が歌舞伎の“三姫”と呼ばれるお姫様の大役のうち時姫、雪姫の二役を演じる。また、襲名披露口上には坂田藤十郎、松本幸四郎、中村吉右衛門、片岡仁左衛門、中村梅玉などが勢ぞろいし、出演予定だった尾上菊五郎は体調不良のため休演となる。「鎌倉三代記」の三浦之助義村は尾上菊之助が代役を務める。

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