『ライオン・キング』だからこそ“超実写版”が作れた

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−−−次に“超実写化”したいディズニー作品はありますか?

今回は全部登場人物が生き物だったから使えた技術ではあったわけですよね。

逆に完全にアニメーションじゃなければ使えない、あるいは使えなかったと思うんです。

つまりクラシックじゃないディズニーアニメーションをリメイクしようと思ったときに、何もリアルなアニメーションは撮れないわけです。

だから無理と言うとこから始まっていて、だったらバーチャルな空間で実際にカメラの撮影ができる、普通に実写でできる技術を取り入れたらできるんじゃないかなと生まれたツールなんです。

つまり今回の『ライオン・キング』が突きつけてきた挑戦の答えが今回のツールだったわけなんです。

とはいえ今回培った技術を他に挑戦応用はします。

例えば『ザ・マンダロリアン』の方で違った形でディズニーに応用しています。

そのままと言うわけではないんですけどね。

アニメーション版と比べると結構違う

−−−『ライオン・キング』にはアニメーション版の他にミュージカルもあり、『ライオン・キング』のイメージに大きな影響を与えています。超実写版では2つの作品をどう取り込んでいますか?

舞台版は音楽あるいはキャスティングや美術を作る上でもきちんとアフリカが舞台であるというカルチャーを大切にしていたことがすごくいいなと思って、取り入れた部分のひとつです。

あるいは女性キャラが94年版のアニメーションよりも登場していて、僕もアップデートは当然だろうと感じていたし、非常に有機的にそれが取り入れられていているわけです。

あとは、最初舞台版を観たときに映画と全く一緒だなと思ったんですけれど、実はミュージカルの方が1時間長かったりして、ということは本質はキープしながらもある意味自由に付け加えたりしている部分があるということ。

つまりオリジナルを見たときに記憶に残っている部分は抑えつつ、あまり記憶に残っていない部分をより自由に広げていくという手法はいいなと思って、今回同じことをしています。

だから観ていただいたときにアニメーション版と全く一緒じゃんと思うかもしれないけれども、両方を比べて観てみると結構違ったりするんです。

ディズニーファンはすぐに『ライオン・キング』だと分かってくれた

−−−自然の描写にはディズニーの「自然と冒険シリーズ」「ディズニー・ネイチャー」などの自然記録映画も参考にされましたか?

もちろん観ました。

例えばヒヒだけの特集とかもあるくらいで、ストーリーがきちっとあるドキュメンタリーを50年代くらい『あざらしの島』からやっていたというのはすごいことですよね。

そういう物語性のある生き物たちのドキュメンタリーの伝統をその頃から作ってきていたというのは本当に素晴らしいことだと思います。

そして今作の最初のティザーのポスターはムファサの話足跡に自分の足跡があるというだけのものだったんだけれども、それがあまりにも写実的だったのでそれを見たエグゼクティブの人がこれ『ライオン・キング』ってわかると思いますか? って心配していたらしいですけど。

ファンの人は『ライオン・キング』だと見てすぐわかりましたね。

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