高嶋ちさ子 高嶋ちさ子

クラシックの名曲をディズニーならではの美しく流麗なアニメーションと融合させ、子供から大人まで多くのファンを持つ映画『ファンタジア2000』。これは1940年、ウォルト・ディズニーが「芸術性の高い作品を」と製作した『ファンタジア』のリメイク版。4月29日(金・祝)東京・東京国際フォーラムホールAより開幕する『ディズニー・ファンタジア・コンサート2016』は、その両作品の世界観をスクリーンでのアニメーションとオーケストラの生演奏とで再現するコンサートだ。今回の来日公演でも、昨年に続きヴァイオリニストの高嶋ちさ子がライブナビゲーターとして解説を担当。今回、ぴあのインタビューに答えた。

クラシック初心者でも安心して楽しめる構成となっている同公演。高嶋は、「クラシックの曲にアニメの映像が付くと、より身近に感じて聴けるようになるし、アニメに曲が添えられると、よりストーリーが理解できる。音楽とアニメの両方を相乗効果で楽しめるのが魅力」と語る。続けて「"スクリーンを観ながら音楽を聴く"って映画館と同じじゃない?と、思う方もいらっしゃるかも。でも録音されたものを聴くのとフルオーケストラの演奏をナマで聴くのとでは、やっぱり音の強さが違うんです」と高嶋。「"オーボエって、こんな風に哀しみの音色を出すんだ"とか、楽器を見て楽しむのもオススメ」と鑑賞のポイントも教えてくれた。

気になる曲目は、三角帽をかぶったミッキーマウスで有名な『魔法使いの弟子』(デュカス)や、ドナルドダッグが奮闘する『威風堂々』(エルガー)、蝶の形をした群れの戦いを描いた『交響曲第5番』(ベートーヴェン)、迫力満点の『火の鳥』(ストラヴィンスキー)など、選り抜かれた名曲が登場する。さらに今年は、ピアニストの清塚信也がゲスト出演。伝説の風刺漫画家アル・ハーシュフェルドが描いたニューヨークをアニメ化した映像と、清塚の弾く『ラプソディー・イン・ブルー』(ガーシュウィン)のコラボレーションは必見だ。

動くものに合わせて曲を演奏することについて、「それはミュージカルも同じではあるんですが、ある意味、アニメに合わせるほうが難しいんですよ」という高嶋。「演奏が盛り上がったとして、相手が俳優さんだったら互いに呼吸を合わせられる。でもアニメは時間が決まっているので、演奏するにはテクニックが必要なんです」とプレイヤー側の苦労も語った。

高嶋自身、ふたりの息子とよくDVDを観ているというディズニーファン。「オーケストラで何曲も聴けるだけで贅沢なのに、ディズニーの映像があれば気負わずに聴ける。そこがこのコンサートのいいところですよね」と話しつつ、「私も演奏したいなって」と笑顔で制作スタッフをチラリ。そのサプライズも含めて、本番のステージに期待したい。チケットは発売中。

取材・文 佐藤さくら