『グランドフィナーレ』

映画『グランドフィナーレ』が4月に公開になる。本作は、オスカー受賞作『グレート・ビューティ/追憶のローマ』のパオロ・ソレンティーノ監督の最新作で、俳優たちは彼が監督ということで出演を熱望したという。ソレンティーノ監督はイタリアの映画作家で、『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』がカンヌ映画祭の審査員賞を受賞。続く『きっと ここが帰る場所』が同映画祭のエキュメニカル審査員賞に輝き、2013年に発表した『グレート・ビューティ…』はアカデミー外国語映画賞に輝いた。脚本家でもあり、人物を重層的に描写していく能力と、こだわり抜いた映像美が高く評価されている。

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そんな監督の能力を高く評価している俳優のひとりが、英国の至宝マイケル・ケインだ。アカデミー協会の会員でもあるケインは、『グレート・ビューティ…』に1票を投じたそうだが、その後に1本の電話がかかってきたという。「ある日『彼が、あなたのために脚本を書いたよ』って電話がきた。私は『誰が?』と聞いたらパオロ・ソレンティーノだと言うじゃないか。彼はイタリア人の監督だし、私は82才の英国人役者だ。信じられなくて思わず質問したんだ」

ケインが受け取った脚本に描かれていたのは、引退を表明し、アルプスの高級ホテルで優雅に暮らす世界的な音楽家フレッドの物語だった。フレッドは自身の道を歩み、大きな成功をおさめてきたが、娘に家族を顧みなかったと責められ、これまでの自分の人生に果たして意味があったのかと自問する。老境に差し掛かった男が“これまで”を振り返り、“これから”を高らかに告げるグランドフィナーレを鳴らすまでの物語は、ケインを魅了し、彼は出演を快諾。本作をひっさげて49年ぶりにカンヌ映画祭に出席し「何ももらえなければここまで来ないが、この映画とても気に入っていて、賞がとれなくても関係ないと思った」とスピーチした。

主人公の娘を演じたレイチェル・ワイズ、主人公の親友を演じたハーヴェイ・カイテル、ホテルに投宿中の俳優を演じたポール・ダノも、“ソレンティーノが監督を務めるから”という理由で出演を決めたそうで、伝説的な名女優ジェーン・フォンダは「ソレンティーノには“マエストロ”という言葉がぴったりだと思うわ。映像にも音楽にも造詣が深い監督はそんなに多くない。彼と仕事ができるのは光栄なことよ。そして彼の作品にすっかり魅了されるの」と語る。

名優たちから絶大な信頼を集めるソレンティーノ監督の新作『グランドフィナーレ』は、日本の観客からどのような評価を集めるのか? 公開が楽しみだ。

『グランドフィナーレ』
4月16日(土) 新宿バルト9、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー

(C)2015 INDIGO FILM. BARBARY FILMS. PATHE PRODUCTION. FRANCE 2 CINEMA. NUMBER 9 FILMS. C -FILMS. FILM4