NHKの大河ドラマ「真田丸」のオープニング音楽でバイオリンを演奏している三浦文彰氏と、本編終了後に放送される「真田丸紀行」でピアノを演奏している辻井伸行氏が大河ドラマの音楽の魅力を語った。
-演奏の依頼を受けた時はどう感じましたか。
三浦 とても光栄で、頑張ろうという気持ちでいっぱいでした。
辻井 (作曲の)服部隆之先生とご一緒できるのは光栄でした。昨年の秋はツアーもあって忙しかったのですが、これはぜひという気持ちでお受けしました。
-曲をもらったときの第一印象は?
三浦 インパクトが強くて、かっこいい。いったん聴いたら耳から離れません。そういうのは初めての体験でした。
辻井 ゆったりとして穏やかな曲だなという感じでした。いろんな悲しみの感情も含まれていますけど、まずは穏やかな気持ちで表現しようと思いました。
-演奏に当たって大切にしたことは?
三浦 最初の2小節はオーケストラのない状況でいきなり僕が弾くわけです。服部先生はバイオリン協奏曲風に書かれたということなのですが、バイオリン協奏曲でバイオリンだけで始まる曲はあまりありません。そういう意味でも気合が入りました。中間には戦国時代を思わせる部分もあり、まさにあの時代に入っていくような感じで演奏しました。
辻井 僕が演奏する紀行の音楽は、戦国時代の人の夢や希望を、時代を超えてゆっくり時間を掛けてたどっていくようなイメージがありましたので、「絆」というこのドラマのテーマを意識して演奏させていただきました。
-演奏家として何か発見はありましたか。
三浦 僕らは普段、作曲家の理想にいかに近づくかということを考えてやっていますが、クラシックだと作曲家の気持ちはご本人には聞けません。でも今回は聞くことができました(笑)。ですからイメージを湧かせるのがすごくやりやすかったですね。
辻井 自作曲だと、自分で自分のイメージをお客さんに伝えるので自由ですが、いつも服部先生みたいな曲が作れたらと思っているので、ご一緒することで作曲の勉強にもなりました。
-「真田丸」を見た印象は?
辻井 信繁の兄は信幸で、私の下の名前の伸行と読みが同じなものですから(笑)、非常に親近感がありました。戦いだけでなく、家族の絆も描かれていて、親しみやすい感じがありました。見応えのあるドラマで楽しく拝見しています。
三浦 すべての人にお話が分かりやすいですし、個人的には見入ってしまいます。
-主人公の信繁は、きりと梅との間で三角関係になりそうです。お二人はどちらがタイプですか。
三浦 中間かな(笑)。僕は結構さばさばしている人も好きです。
辻井 タイプとしては明るくて優しくも、しっかりとしていて、支えてくれる人がいいですね。きりと梅なら、うーん、僕も中間ですね(笑)。
-一緒に演奏する機会もあったと思いますが、互いの印象は?
三浦 辻井さんは明るくて、第一印象としては豪快な男です(笑)。
辻井 三浦さんは演奏もとても落ち着いていて、いつも完璧。すごいと思います。
-クラシック以外の音楽の演奏を聴くことはありますか。
三浦 気分転換でポップスとかも聴いていました。
辻井 僕は演歌とかも大好きで、氷川きよしさんの歌もよく聴いています。クラシック以外の音楽を聴くのもとても楽しみにしています。
三浦 僕も演歌が好きです(笑)。
-演奏家として日々向き合っているクラシック音楽の魅力は?
三浦 敷居が高いとか、入りづらい印象はあると思いますが、一度なにかの機会に聴いてもらうといいと思います。いろんな名盤のCDが出ていますので、聞き比べるのも面白いです。
辻井 クラシックには心が穏やかになる効果もあると思いますし、リラックスして楽しんでほしいです。また(コンサートに)足を運んでもらえるような演奏をしていきたいと思いますし、ぜひ生で聴くことの良さを分かっていただきたいです。