「FREETELコーナー」を前面に打ち出す「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」

ヨドバシカメラは3月16日、東京・秋葉原の「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」1階のスマートフォン(スマホ)売り場を報道陣に公開。SIMカードやSIMロックフリースマホの売り場を拡充して、販売を強化する姿勢を鮮明にした。

●勢い増すSIMフリースマホ

JR秋葉原駅の中央改札口を出てすぐのオーロラビジョンがある正面入口から店舗に入ると、SIMフリー端末の販売で急成長しているプラスワン・マーケティングの「FREETELコーナー」が目に飛び込んでくる。店内に入ってすぐの大画面ディスプレイにも「FREETEL」の文字が踊る。

ヨドバシカメラでは、今年1月30日の新宿西口本店で「FREETELコーナー」を導入したのを皮切りに、マルチメディア吉祥寺、マルチメディア上野、マルチメディア札幌、マルチメディア新宿東口、マルチメディア京急上大岡、マルチメディア郡山、千葉店と「FREETELコーナー」を次々に設置してきた。

ヨドバシカメラの通信サービス商品事業部の松月俊雄事業部長は「3大キャリアのスマートフォンが10としたら、SIMフリー端末は2~3。今後はこれが5まで増えていくだろう」とSIMフリースマホの販売の勢いについて語る。

実際に、2月からの「実質0円廃止」によって、ヨドバシカメラの2月の販売はスマホトータルで前年割れとなり、3月の第2週までも前年より若干下回ったという。しかし内訳ではSIMフリースマホが前年比で1.5倍の勢いで伸びている。「19日からの三連休で春休みに入るので、さらに需要の盛り上がりを期待したい」(松月事業部長)。

●BCNランキングでも2月の販売台数前年比は1.5倍

全国の主要家電量販店などの実売データを集計する「BCNランキング」でも、1月の駆け込みの反動もあり、2月のスマホの販売台数は前年比で82.5%と大幅にダウン。NTTドコモやau(KDDI)、ソフトバンクの3大キャリアの販売台数はそれぞれ前年比で2割から3割減少した。

一方、SIMフリースマホは前年比で1.5倍に増え、スマホ全体に占める販売台数構成比も17.9%と過去最大を記録した。トータルでは落ち込んでいるものの、ASUSやファーウェイ、プラスワン・マーケティングなどのSIMフリー陣営が激しく追い上げている。

「FREETEL」だけではない。マルチメディアAkibaの正面入口の左側には、同日に発表(既報)したヨドバシカメラオリジナルのSIMカードの什器を設置。ソフトバンクのY!mobileのカウンターでは、ヨドバシカメラのSIMカードとのセット販売を開始したほか、SIMフリーキャリア各社の端末を並べている。

また、SIMカードについて分かりやすく伝えるPOPを展示したり、「通信なんでも相談カウンター」を設置したりと新しい客層の獲得を狙う。

「最近増えているのが、ガラケーから初めてスマートフォンを購入するお客様。われわれ消費者にとって(格安SIMは)いい方向にきていると思う」と語るヨドバシカメラの日野文彦専務販売本部長は、こうした潮目の変化を新たなビジネスチャンスと捉えている。(BCN・細田 立圭志)