“癒しと眠り”のクロスセル、「コジマ×ビック八王子高倉店」の「コト」戦略

2016.3.22 15:16配信
3月18日にオープンした「コジマ×ビックカメラ 八王子高倉店」

「コジマ×ビックカメラ」の新店オープンやリニューアルが相次いでいる。“コト提案(=ユーザーが何をしたいか)”にテーマに据えた店舗を出店することで、地域客との関係性の強化を狙う。3月18日にオープンした八王子高倉店も“コト提案”を反映した店舗の一つ。“癒しと眠り”という家電量販店としては異色のテーマを掲げる。

●徹底した雰囲気づくりでユーザーの購買意欲を刺激

「コジマ×ビックカメラ 八王子高倉店」は、生活協同組合「コープみらい」の新店舗「コープ高倉店」の2Fにインショップの形でオープンした(「コープ高倉店」は同月15日にオープン)。売場面積は約2200平方メートル。ワンフロアの郊外店としては広く、デジタル家電・生活家電だけでなく、寝具や日用品など生活必需品も幅広く取り揃える。

なかでも、寝具はコジマとしては初の本格展開。ビックカメラ・生毛工房のノウハウを生かしつつ、“癒しと眠り”の専門コーナーとして、寝具だけでなく、美容家電、照明など関連するアイテムをクロスセルで展開する。

フロア全体のうちの1/10程度の面積を占めるこのコーナーは、ほかの家電コーナーと世界観を区分するため、天井のライトに暖色系を採用。POPのテイストを変えたり、天井付近に製品をレイアウトするなどしてコーナー全体の立体感を演出している。

その最たるものが、実際の寝室やバスルームを再現したコーナーだ。寝具の提案はもちろん、ベッドサイドやバスルームを快適にする家電を配置。家電のケーブルをケーブルボックスに収納してすっきりみせるコツなど、参考になる工夫を凝らしている。美容家電や空調家電だけでなく、スピーカーやお風呂テレビなどデジタル家電も織り交ぜて、トータルコーディネートすることでユーザーの購買意欲に働きかける。

コジマの取締役専務執行役員である塚本智明 営業本部長兼営業部長は、今回の特設コーナーを「ワンフロアの展開ならでは」と語る。各カテゴリがフロア別に分かれている都市型店舗ではクロスセルの展示に限度があるが、ワンフロアの郊外店なら、「寝具から美容家電へ、バスアイテムからデジタル家電へ」とシームレスに別カテゴリの製品を横断的に提案できるという。

専門コーナー以外の売り場でも、クロスセル展示を意識している。専門コーナーに隣接するエリアにふとんクリーナー、そこから延長線上に掃除機の体験エリア、といった具合に関連する導線がどこまでも続く。「単体で販売するより10%から20%は売り上げが伸びるのではないか」と塚本営業部長も緻密に計算された売り場構成に期待する。

●スリープアドバイザーを常設、対面式のカウンターも

「スリープアドバイザー資格」をもつ専門販売員が常駐することも売りの一つ。ユーザーの悩みを聞き、適切な製品を紹介するだけでなく、具体的な改善施策もレクチャーする。じっくりと話が聞けるように対面式のカウンターも用意。コーナーのいたる場所には、アドバイザーのコメントを記した手書きPOPが見受けられた。手書きには、顧客に親近感を与える効果以外に、その場ですぐに書けるというメリットある。ユーザーの反応を見ながら短い頻度で更新することができるのだ。

八王子高倉店の中嶋陽店長も、今回のオープンに備えて「スリープアドバイザー資格」を取得した一人だ。「専任の販売員3人のほかに、店長・店長代理も資格を取得した。チーム意識をもつことで、新しい売り場を日々ブラッシュアップしていきたい」と豊富を語る。

デジタル家電の売り場でも、クロスセルを意識した配慮がなされている。「郊外店は都市型に比べて、ホームシアターに関心をもつユーザーが多い。映像機器と音響機器のセット売りは都市型以上に効果的」(中嶋店長)。4K映像を椅子に座ってじっくりと品定めできるスペースに加えて、最新のサウンドシステムである「ドルビーアトモス」の体験ブースを用意するなど、都市型と比較しても遜色ない充実した売り場を構築する。

平日は客足が落ちる郊外店だが、同居するコーポを毎日訪れる主婦層を取り込むことで曜日を問わず活気ある店づくりを目指す。商圏内の競合をどのように意識しているか塚本営業部長に問うたところ、「競合の意識はない。胸を借りるつもりで学ばせてもらう」と謙虚な回答が返ってきた。売り場内の施策だけでなく、外部要因ともうまく連携することで、地域客の支持を得る“新しい郊外店”のカタチを模索する姿勢が伝わってきた(BCN・大蔵 大輔)

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