「スマート3D」をインストールしたタブレットをもつ家具営業部の手塚龍太郎主任

デジタル機器を駆使した販売提案が加速している。生活・家庭用品から家電製品、家具まで揃う島忠ホームズでも、タブレットを活用した「スマート3D」というサービスが3月4日からスタートした。

「スマート3D」は、タブレットの画面にユーザーの部屋を3Dで再現し、購入したい家具をそこにレイアウトできる購入支援サービスだ。「家具のサイズ感を知りたい」「種類や色を比較したい」「さまざまな家具を組み合わせて出来上がる部屋の完成形をイメージしたい」などのユーザーニーズに対応する。

まずは、プリセットしてある間取り、もしくは自分で作成した間取りをシミュレーションする部屋として登録。間取りの作成は、タブレットの方眼シートに部屋の長辺を指で入力するだけ。一部分がせり出した変型の部屋や、複数の部屋をまとめてシミュレーションしたい場合も直感的な操作で簡単に作成できる。

次に、サイドバーのカテゴリ一覧からシミュレーションしたい家電製品を選択する。ソファやベッドなど大型家具からリビングボードや照明など比較的小ぶりのインテリアまで、多数のアイテムを揃える(現在は約440アイテム)。

具体的な製品の登録はないが、冷蔵庫やテレビのイメージもサイズ別に用意する。「購入したいリビングボードには、何インチのテレビが最適?」という疑問を解消するのにも役立ちそうだ。

家具の配置は、部屋の全景を俯瞰できる2D画面で設定する。イメージ画像の向きは、画像の角のアイコンを押しながら指を動かすと自在に変更できる。

実際の生活シーンの視点をタブレット上で再現することも可能だ。例えば、壁沿いにリビングボードとテレビをセットし、その向かい側にソファをセット。2D画面内にあるカメラアイコンをソファの位置に合わせて、視点の向きをテレビに向ければ、ソファに座ったとき、テレビがどのように見えるかを確認できるのだ。

シミュレーションの土台となる部屋は、窓の配置や床の色の変更にも対応する。こだわれば、限りなく現実に近いイメージが浮かび上がってくる。家具の色の変更も簡単。試行錯誤を繰り返していけば、展示品を品定めするだけでは気がつかなかった思わぬコーディネートに巡り合える。

家具営業部の手塚龍太郎主任は「開始からまだ1か月経っていないが、ユーザーからはすでに好評いただいている。直感的に操作できるため、年齢層を問わずゲーム感覚で活用してもらえているようだ」とサービスの立ち上がりに手ごたえを感じている。

過去にもユーザーから部屋の図面を預かり、立体的なインテリアコーディネートをするサービスは実施していたが、作成に時間がかかりイメージ図の完成までに数日を要していたという。手塚主任は「今回のサービスの利点は“スピード”。ユーザーがその場で数分作業するだけで、かなり正確なイメージを再現することができる」と特徴を説明する。

また、“合わせ買い”を訴求できることもメリットの一つだ。「ソファを購入予定のユーザーに、カーペットやリビングテーブルを組み合わせた再現イメージを見せる。コーディネートを気に入ってもらえれば、まとめて購入いただけることもありうる」(手塚主任)

島忠ホームズの家具・インテリアフロアのある全店舗で一斉に開始した今回のサービス。操作性の高さがユーザーだけでなく、販売員の負担の軽減にもつながりそうだ。「ゆくゆくは全店員が一人一台、タブレットを持って接客できるようになれば」と、デジタル機器を活用した販売手法に積極的に取り組む考えだ。「スマート3D」はアイテムを順次追加し、将来的には約1500アイテム/約75万通りのコーディネート実現を目指している。(BCN・大蔵 大輔)