『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』 (C)2011 Ides Film Holdings LLC

ジョージ・クルーニーが出演だけでなく、監督、共同脚本、製作を務めた『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』が日本で公開中だ。アメリカ大統領選挙を舞台に、そこに渦巻く人間の欲望や駆け引きに迫った本作を、日本の政治家はどう見ているのだろうか? そこで自民党所属の参議院議員、世耕弘成氏に話を聞いた。

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『スーパー・チューズデー…』では、アメリカ大統領選挙の予備選が行われる“スーパー・チューズデー”に向けて、有力候補(クルーニー)、正義感あふれる広報官(ライアン・ゴズリング)、秘密を抱えるインターンの選挙スタッフ、ライバル候補の参謀ら様々な人物の思惑が交錯し、正義の実現と挫折、裏切りのドラマが描かれる。

本作は、アメリカの民主党予備選に出馬したハワード・ディーン候補の選挙スタッフを務めていたボー・ウィリモン氏がそこで見た光景や体験を参考に描いた戯曲を基にした作品だ。自民党広報本部長代理や自民党幹事長補佐を担当してきた世耕氏は本作について「改めて政治及び、選挙というもののドロドロさを痛感しましたね」と笑顔を見せるも、ゴズリング演じる広報官については「彼は何だかんだ言って、非常にドライに見えても、実のところ候補者にすごく忠誠心を持ち、一生懸命やっているんですよね。ですから、私は彼の“忠誠心”というものには一種の共感を覚えました」と語る。

本作に登場する選挙の“裏方”たちは、それぞれが野心を抱えながらも、時に協力し、候補者の当選という目標に向かって全力を尽くす。世耕氏は、選挙で戦う人間の条件について「まず、良い選挙運動をやろうと思ったら、1人が1番いいんですよ。選挙というのは、みんなでワイワイやるものではなくて、指揮系統がしっかりしていることが大事です。要するに、ピラミッド形式になっていて、その頂点に誰かがいなくてはいけないんですよね。だから、そういう意味では必要なことというのは、リーダーの言う事を聞き、ちゃんとそこで力を発揮できる人ということになりますね」と説明する。しかし、映画ではそのピラミッドが、ある事件を機に崩れ、歪み、様々な人間模様を描き出していく。

本作は、実際の選挙戦を戦った裏方が脚本に関わった作品だけあり、政治の世界の“生々しさ”がしっかりと描かれている。世耕氏は「政治のことを軽薄に見て、『政治家達は、いい加減にやってるんだろうな』と思っているような人たちにこの映画を観てほしいですね。実際はこういう形で真剣勝負をし、人間性などすべてをかけた戦いをしていて、それを経た人が議員になっている。その中でまた、更に勝ち抜いていった人が総理大臣になっているんです。そういうことを理解してほしい」とコメントした。

『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』
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