クエンティン・タランティーノ監督(左)とレオナルド・ディカプリオ

 1969年のハリウッドを舞台にした『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(8月30日公開)のクエンティン・タランティーノ監督と主演のレオナルド・ディカプリオが来日し、記者会見を行った。

-『ジャンゴ 繋がれざる者』(12)以来のタランティーノ監督作への出演でした。出演が決まったときの気持ちはいかがでしたか。

 今回はまず、リック・ダルトンという役柄に引かれました。そして監督と一緒にリックの魂の部分をどう作り上げていくかを考えました。この映画は数日間の出来事を描いていますが、落ち目の俳優として何とか時代の流れに付いていこうともがきながら、彼がどう変化していくのかが重要なポイントになります。そして彼のスタントマンを務めるクリフとの友情に加えて、このコインの裏表のような2人の関係の変化も描かれます。その中でとても良かったことは、監督から事前に彼らのバックストーリーを詳細に聞かされていたことです。だからとても演じやすかったのです。

-ブラッド・ピットとの共演について、何か準備はしましたか。

 僕は演じる前にはいつも徹底的にリサーチをするのですが、今回はあまり必要がありませんでした。僕が演じたリックも、ブラッドが演じたクリフも、映画業界の端っこにいて、ハリウッドが変化していく中で取り残されている存在です。僕もブラッドも映画人としては成功しているとは思いますが、周囲を見渡せば、いろいろな人がいるので、リックとクリフが置かれた状況はとてもよく分かります。2人は互いに依存し合っているような関係で、生き残っていくためには互いが必要なのですが、そうした彼らのバックグラウンドを全て監督が事前に説明してくれたので、撮影に入ったときには、彼らのキャラクターについてはほぼ理解していました。

-リックを演じるに当たって大切にしたことは?

 監督同様、演じるに当たってたくさんの俳優たちを参考にしました。この映画についてリサーチしたときに、未知の世界に入り込んだ感じがしました。皆さんご存じのようにクエンティン・タランティーノといえば大変な映画マニアですから、映画に関する知識の宝庫なんです。それでいろいろなドラマや映画を紹介されました。そのときに思ったのが「この映画はハリウッドの祝祭だ」ということでした。みんなが愛したいろいろな作品に関係しながら忘れ去られた俳優たちがいます。今回、リックという役を通して彼らのことを知ると、ハリウッドという魔法の世界の中で、まだ仕事ができているリックはラッキーだという気持ちになりました。今回のリサーチは素晴らしい経験になりました。

-この映画には“ある奇跡”が描かれていますが、自分の身の回りで起きた奇跡はありますか。

 僕はハリウッドで生まれ育ちましたから、俳優でいることがどれだけ大変なことであるかなど、映画業界のことはよく分かります。世界中の人々が夢を抱いてハリウッドにやって来ますが、その夢をかなえることができる人はごくわずかです。僕は幸運にも子どものころからハリウッドにいたので、学校帰りにオーディションを受けることができました。今、俳優としての仕事があるという状況、自分に決定権や選択肢があること自体が奇跡だと思います。この状況には本当に感謝しています。

-あなたにとってハリウッドという場所はどんな意味を持っているのでしょうか。

 僕にとっては生まれ育った所なので、ちょっと偏見があると思います。とにかく悪評が立ち、実際に困った人たちもたくさんいるのは確かです。でも、僕自身はここに家族や友だちもいるので、街が自分の一部になっていると思います。ここは夢の工場であり、成功も生み出しますが、もちろん失敗もあります。でも、僕はここで世界中から来た素晴らしい人たちに出会っていますから、常に帰れる場所だと思っていますし、幸せな気分になります。

(取材・文・写真/田中雄二)