で、そんな『さいごのひ』の次に歌うのが『ソングライアー』なのだから、やっぱり今のスキマスイッチはすごい。愛や孤独と言うテーマに真っ向から向き合った珠玉のバラードを歌ったあとで、“スター”である自分を自嘲するシニカルなブルースを歌ってしまう。この振り幅の広さも『musium』というアルバムの世界観の賜物だろう。そこから一気にギアを入れ『君の話』に突入。元々勢いのある曲だが、ライブでのダイナミズムをさらに増幅させるロッキンなアレンジに変貌していて、一旦火のついた客席は収まりがつかない状態に。

さらに『スモーキンレイニーブルー』を投下! これ、もう、めちゃめちゃカッコよかった! いきなりバカみたいな感想ですみません。特に「♪ジャッジャジャッジャッジャッジャッジャジャッジャッジャーン」のブレイクで各人を回していくメンバーソロ、やはりみなさんうますぎ。そしてファイナルだからなのか、どの会場でもそうだったのか(おそらく後者)、みなさん遊びすぎ。あんなに全員が全員、火花を散らしつつも無邪気にはっちゃけるソロ、なかなかないだろう。このバンドだからこのライブを作ることができたんだな、というチーム・スキマスイッチの熱い結束を垣間見た気がした。

そしてトドメの『キレイだ』と『全力少年』。自分は会場の左端の席だったので、曲中、横や後ろを見回してみたのだが、まあとんでもない量の笑顔、笑顔、笑顔。全員笑顔で、歌って手拍子してジャンプしまくっている。すごいなあ。彼らはこの3ヵ月間、こんな熱狂を全国各地で生み出してきたのだ。そしてそんなツアーも、もうすぐ終わりなのだ。でも不思議と寂しさはない。と言うか、寂しいとか言ってる場合じゃない、尋常ならざるレベルの多幸感があふれまくったひと時だった。

完全燃焼した観客を前に、大橋がアコギを抱える。「じゃあもう1曲」。聴きなじみのあるイントロが流れる。『晴ときどき曇』だ。これまでのスキマスイッチのある種集大成とも言える、優しく温かく、力強くたくましいバラードが、じんわり心に沁みこんでゆく。陽の光のようなやわらかさの裏に見え隠れするタフな精神。来年10周年を迎えるスキマスイッチの歴史をそのまま音にしたようなこの曲を、大切に届けるメンバー。長いアウトロを聴きながら、心地良い清々しさとともに、いよいよライブの終わりを覚悟した。

しかし曲が終わっても、ステージ上からメンバーが去る気配はない。そのかわりに、常田がどこか聴き覚えのある和音を奏ではじめる。そして、大橋の声が重なる。

<永遠? そう言うならそれもそうかも/瞬き? それもまた間違いじゃないんだ>