4割の児童相談所は1件も養子縁組の仲介をしていない

では、実際の養子縁組の現状はどうなのでしょうか。

厚生労働省の研究によると、2014年度に養子縁組の仲介をした児童相談所は約6割にとどまり、残りの4割は1件も養子縁組の仲介を行っていませんでした。

児童相談所が養子縁組に積極的でない理由として、虐待対応などで児童相談所の職員が手いっぱいであることが、理由として挙げられます。

対策としては、大阪府や神戸市で民間団体である家庭養護促進協会が児童相談所と協力して養子縁組を行っているように、民間団体と児童相談所が協力して養子縁組を行う事が望ましいのではないでしょうか。
長期的には、児童相談所の職員の増加や専門性の確保が必要になると考えられます。

まとめ

貧困やレイプ、望まぬ妊娠など、もし自分で育てることができない状況でも「特別養子縁組」という選択があります。

不妊治療でなかなか赤ちゃんを授かることができないご夫婦にも「特別養子縁組」でお子さんをご家庭に迎えられるという選択肢があります。

そして、何よりも、「家庭で育つべき」である子どもたちが、何万人もその環境を得られず、毎日を過ごしているという現状があります。

今回お話を伺った、特別養子縁組の普及のためのプロジェクト「ハッピーゆりかご」を推進する、日本財団のご担当者からは、『日本でも、産みのお母さんへの支援や、里親と養子縁組の普及に力を入れていくことで、全ての赤ちゃんが家庭で育つ社会をつくることができるのではないでしょうか。日本財団は、ハッピーゆりかごプロジェクを通じて、産まれてくる子どもが地域の家庭で育つことのできる社会づくりに貢献していきます。』とのメッセージをいただきました。

特別養子縁組制度を通じて、是非、ひとりでも多くの子どもたちがあたたかい家庭で過ごすことができるようになることを祈ります。

参照:

ハッピーゆりかごプロジェクト
厚生省
児童福祉法(厚生労働省)

 

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。