国連子どもの権利条約では、「すべての子どもは家庭環境の下で成長すべきである」と宣言されています。

でも、実際にはさまざまな事情により、産みの親と暮らすことができない子どもたちがいます。

あたたかい家庭が必要な子どもたちがいる。
一方、赤ちゃんを望みながらもなかなか叶わず、子どもを家庭に迎えたい人がいる。

今回は、その両方の人たちの架け橋になることができる制度「特別養子縁組」について、特別養子縁組の普及を目指して様々な活動をする日本財団のご担当者にお話を伺いながら、ご紹介します。

「養子縁組」って、どんな制度?

なんとなく「養子縁組」という制度があることは知っているけれど、詳しくはわからないという人も多いかもしれません。そんな「養子縁組」について、少し詳しくご紹介していきましょう。

さて、「養子縁組」と呼ばれる制度には、「特別養子縁組」と「普通養子縁組」があるのはご存知でしょうか。

「特別養子縁組」と「普通養子縁組」の違い

 

特別養子縁組とは

「特別養子縁組」とは、原則として6歳未満の子どもの福祉のため特に必要があるときに、子どもとその実親側との法律上の親族関係を消滅させ、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度です(6才未満から事実上養育していたと認められた場合は8才未満まで可能)。

つまり、産みの親との親子関係は消滅し、養親の子どもとして育つことになります。
養親は子どもが小さいときから思春期、成人した後も愛情を注いで支え、見守り続ける存在となります。

 

 

:普通養子縁組とは

「普通養子縁組」とは、養子は戸籍上、実親との関係は残り、養親と実親の二重の親子関係になる縁組のことをいいます。

養親は養子の親権者と契約します。養子の年齢に制限はありませんし、基本的に本人の意思により縁組することができます。

ただし、未成年者で自分の孫や配偶者の連れ子などの直系卑属でない場合は家庭裁判所に申立て縁組の許可をもらわなければいけません。

養子縁組を解消することもできます。戸籍の記載は「養子」「養女」となり、相続権は実親、養親、両方の相続権を持ちます。

 

 

上記のように、「普通養子縁組」には、年齢制限はありませんし、戸籍上は実親との関係が残ります。
「特別養子縁組」は、「原則6歳未満の子ども」を実子として迎え入れる縁組となります。ひとことで「養子縁組」といっても、資格や手続きも異なるのです。

その中で、今回、ご紹介する子どもを育てられない人と子どもを育てたい人の懸け橋になるのは「特別養子縁組」です。

ちなみに、「里親」という言葉もよく聞きますが、里親制度は一時的な養育としての制度で、法律上親子になるわけではありません。