新学年、新学期がスタートし、早くも半月以上が経過しました。CharacterJAPAN読者の中にも、今月から新しく中学生、高校生になられた方も多いことかと思います。

新生活のスタートとなる新学期。中学校や高校での学生生活を、より豊かなものにしてくれるものといえば、やはり部活動です!

とはいえ、一口に部活といえどもその活動内容は様々。部員全員で厳しい練習に耐え、血の滲みむような努力の末に全国を目指すようなハードな部活もあれば、もっとゆるやかに、部員が皆で楽しむ場としての部活もあります。

ゆえに、部活動を描いたアニメ作品でも、その描き方には多様性があり、色々な部活アニメが生み出されてきました。

そこで、今回は、そんな楽しい部活動アニメ……しかも、"体育会系"ではなく"文系"の文化部に絞って、オススメの作品を厳選してご紹介させていただきます!

京都アニメーションが世に送り出した説明不要の大ヒット作! 『けいおん!』

オススメの"文化部アニメ"……ということで、最初にご紹介したい…否、すべきなのはやはりこの作品。軽音部に所属する主人公たちの日常を描き、大ヒット作となった『けいおん!』です。

2009年に第一期の放映がスタートすると、京都アニメーションによる美麗な絵作りと魅力的なキャラクター描写で、あっという間に大人気作に。2010年には、第二期の『けいおん!!』が放映され、後に劇場映画も公開されました。さらに、軽音部というモチーフを巧みに絡めた音楽ソフトも一般の音楽チャートにランクインするなど、まさに一時代を築き上げた作品です。

まずは、何はなくともアニメーションの美しさと贅沢さ、シリーズで監督を務めた山田尚子さんとシリーズ構成の吉田玲子さんの手腕による可愛らしく丁寧なストーリー展開。そして、各種音楽パロディやオマージュを盛り込んで、音楽ファンも納得の出来に仕上げられた百石元さんによるBGMなど……大ヒットとなった要因や作品の魅力は数多くありますが、やはり、徹底的に「女の子の日常に根差した作劇」が、本作にとっては大きな肝となっていたのではないかな、と。

『けいおん!』というアニメは部活を描いたアニメではありますが、何か大きな目標や理想に向かって、部員同士で力を合わせて頑張る……といった方向性とは、少しばかり趣を異にする作品です(一応、「日本武道館の舞台に立ちたい!」のように、漠然とした活動の指標はありますが)。

むしろ、そうした大きなストーリーよりも、それよりもグッと目の前にある何てことのない日常、つまり女の娘同士の友情や何気ない出来事を描くことにこそ、『けいおん!』のエネルギーは向けられています。

そういう意味では、本作における「部活動」は、キャラクター同士が心を通い合わせる「舞台」としての要素が大きいのです。例えば、ゆうきまさみ先生の『究極超人あ~る』における光学部のように、こうした方向性の作品は昔から存在しているわけですが、それを高い濃度とクオリティーでやってのけた作品が『けいおん!』なのです。

部活動の内容そのものをドラマの中心に据えるのではなく、そこに集う登場人物にこそスポットをあてるという構成。だからこそ、そのゆるくて楽しい部活動は、何よりも輝いて、眩しく見える。後続の「きらら系四コマアニメ」への影響も見えてきますし、時代の要所要所で観返したいマイルストーン的なアニメ作品です。