部の活動内容は、まさかの人生相談! 『人生相談テレビアニメーション「人生」』

続けてご紹介する『人生相談テレビアニメーション「人生」』は、高校の新聞部を舞台とした川岸殴魚先生によるライトノベル『人生』のアニメ版です。

新聞部が作品の主要モチーフになっているだけでも十分に珍しい部活アニメなのですが、本作は、更にコアでニッチなところに踏み込みます。何と、このアニメでストーリーのメインになっているのは、校内新聞の人生相談コーナーなのです!

生徒たちの悩みを解決する「お悩み相談コーナー」を担当する主人公が、回答係としてやってきた3人の女の娘たちの力を借りながら奮闘する……というのが本作のストーリー。

シナリオの大筋だけ見ると真面目な話にも思えますが、実際は相談内容も回答もかなり砕けた中身となっており、シリアスな雰囲気はほぼ皆無。気楽な気持ちでリラックスして観ることができる、カラッと明るい陽気なコメディ作品となっています。

それもそのはず、このアニメに出てくる回答係を務めるのは、科学的かつ合理的な思考の持ち主である"理系女子"の遠藤梨乃、歴史マニアでほんわかとした性格な文学少女の九条ふみ、スポーツ万能ながらも正直、頭の方は、かなり残念な感じの鈴木いくみという、それぞれに「理系」「文系」「体育会系」な能力に特化した女の娘たちなのです。

性格も得意分野も人生観もまるで異なる3人が集まる(更に、中盤からは、"美系"な美術部員、村上絵美という女の娘も参戦!)わけですから、当然、寄せられた相談に対する回答もてんでバラバラ。「三人寄れば文殊の知恵」という諺がありますが、一方向に特化した能力と思考を持つ彼女たちの答えは、毎回毎回、騒動を起こしてしまいます。

もはや、「文殊の知恵」どころか「大喜利」あるいは「クイズ番組でのオモシロ回答」のようなレベルで繰り広げられる人生相談。とはいえ、本人たちは至って真剣。人生相談にキチンと向かい合い、相談者の救いになるような答えを真面目に考えているのです。

本人たちは真剣だけれども、出てくる答えは珍回答。そうしたギャップやズレこそが、本作におけるコメディの真髄であり、トリッキーな設定を用いつつも、基本は笑いに対して非常にベーシックな構成になっていることに気付かされます。

また、人間性もバラバラな回答係の女の娘たちがエピソードを重ねる毎に、協力し絆を深めていく様も何とも素敵で、その何とも楽しげな様子を観ていると「あぁ、自分もこんな高校生活を送ってみたかったな……」なんて、大笑いしつつも思わず羨望を抱いてしまいます。

そのタイトル通り、恐らくはアニメ界初の"人生相談テレビアニメーション"として爆誕した『人生』。良質なコメディアニメとして、レコメンドしたい作品です!

部活アニメにおける異色作中の異色作! 『帰宅部活動記録』

最後に紹介する部活アニメは、数ある部活動をテーマにしたアニメ作品の中でも、とびっきりの異色作も異色作。「帰宅部」の少女たちによる毎日を描いだギャグアニメ、その名も『帰宅部活動記録』です。

本作での「帰宅部」は、どの部活動にも入部していない無所属の生徒たちを指す一般的なニュアンスのそれではありません。きちんと部員が存在し、放課後に活動を行っている「帰宅部」というれっきとした"部活"なのです。

では、その帰宅部の活動内容がどういったものかというと、「放課後から帰宅するまで、楽しく過ごす」という基本となるモットー以外には、特に目標もコンセプトも存在しない、非常に曖昧模糊としたもの。

そんな漠然とした部に入部するハメになってしまった主人公の安藤夏希は、ノリも性格も妙な部員たちに囲まれて騒々しくも楽しい毎日を送ることになります。

本作で一番のポイントとなっているのが、ギャグ描写におけるバラエティーの豊かさ。劇中では、ベタなボケから、シュールなネタにパロディネタ、メタフィクションなギャグがきたかと思えば、次の瞬間には強烈なブラックジョークが登場し、果てはお色気ギャグや下ネタまでもが顔を出す。ありとあらゆるギャグが放り込まれ、全力投球でこちらで投げ込まれてくるのです。

「帰宅部」という活動内容が不明瞭な謎の部活の設定を活かし、どこまでも自由な空間を設けることで、ありとあらゆる方向性から笑いに挑んでみせる。それが、『帰宅部活動記録』というアニメの凄いところです。

ある意味で実験的なギャグアニメであり、また、観る者を笑わせることに吹っ切った思い切りの良い作品性は、楽しいアニメを求めている人ならば必ずツボに入ります。

各エピソードによって様々な色を見せてくれるアニメですが、中でも特殊ルールを用いたしりとりで知略的な笑いを描く第7話と、最終回での怒涛のショートネタの畳み掛けは、まさに圧巻。ギャグアニメが好きな方は、これらのエピソードだけでも観ていただきたいです!

色々な笑いのアプローチを楽しむことができる贅沢な部活アニメ。主役の女子部員たちを演じる若手女性声優さんの初々しい演技も微笑ましい作品ですよ。

以上、いずれも楽しくて、優しくて、そして、大笑いできる文化部アニメを5本、ご紹介させていただきました。

全国優勝を目指すような熱い体育会系の部活動アニメも良いですが、こういう力を抜いて観ることができる作品があるのも、また部活動アニメの魅力でしょう。

これらの作品の中で、毎日を楽しく過ごす登場人物たちのように、皆さんの新学期も充実したものになることをお祈りしています!

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。