D5はXQDタイプが売れたがD500はどうか? 新戦略を取るレキサーがカードの価格を変える!?

2016.4.19 11:00配信

3月26日、ニコンがデジタル一眼レフカメラのフラッグシップモデル「D5」を発売した。カメラ愛好家から注目を集める「D5」は、メモリカードスロットの違いで、CFカード対応モデルとXQDカード対応モデルの2種類がある。カメラの性能は同じながら、記録媒体の異なる二つの「D5」。どちらが人気なのだろうか。

家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で、予約分を含む2016年1月6日から4月3日までの実売データを集計し、販売台数構成比を調べた。CFタイプは31.9%、XQDタイプは68.1%と、圧倒的にXQDタイプが多いことがわかった。

XQDの優位性は転送速度の速さだ。かつては最も高速だったCFだが、現時点でUDMA7の167MB/秒が上限。対して、レキサーの「Professional 2933x XQD」の書込速度は400MB/秒。圧倒的に速い。この速さは連写撮影時や解像度が高い動画撮影時に威力を発揮し、ストレスのない撮影をサポートする。つまりカメラの性能を存分に引き出せる記録媒体といえる。

とはいえ、新しい記録媒体なので、まだまだ高い、と思っている人もいるだろう。本当にXQDは高いのだろうか。

●CFとXQDはどちらがお得? 平均単価比較

現時点でXQDを販売しているのはソニーとマイクロンが展開するレキサーのみだ。対してCFはサンディスク、レキサー、トランセンド、東芝などが手がけている。そこでXQDもCFも各社最速の128GBモデルで税別平均単価(BCNランキング 3月月次)を比べてみた。

サンディスクの「Extreme PRO CompactFlash 128GB」(読込160MB/秒、書込150MB/秒)は4万1500円、レキサーの「Professional 1066x CompactFlash 128GB」(読込160MB/秒、書込155MB/秒)が2万3400円、東芝の「EXCERIA 128GB」(読込150MB/秒、書込120MB/秒)が1万9400円、トランセンドの「コンパクトフラッシュ 128GB」(読込160MB/秒、書込120MB/秒)が1万5800円だった。トランセンドが一番安いが、その分転送速度がやや遅く、転送速度と価格のバランスを見るとレキサーのCFがコストパフォーマンスがよいといえる。

さてXQDはどうだろうか。先述した通り、転送速度はソニーの「XQDメモリーカード Gシリーズ 128GB」は読込400MB/秒、書込350MB/秒、レキサーの「Professional 2933x XQD 2.0 128GB」は、読込440MB/秒、書込400MB/秒とCFに比べて倍以上の速さだ。当然、速さに比例して価格もそれなりだろう。

ところがソニーの「XQDメモリーカード Gシリーズ 128GB」は6万1500円とサンディスクのCFの約1.5倍。レキサーの「Professional 2933x XQD 2.0 128GB」に至っては2万2500円とサンディスクやレキサーのCFよりも安いという結果だった。また、速度差がありながらトランセンド、東芝のCFと比べても価格面で遜色ない。CFよりも速い上に安いのであれば、選ばない理由はないだろう。

●レキサーはなぜ安い? その理由は内外価格差の拡大

レキサーのXQDはなぜ、ここまで安いのだろうか。あまりの安さに「安かろう、悪かろう」ではないのか? と疑ってしまう。その真相を探るため、レキサーを担当するマイクロン ジャパンのコンシューマープロダクツグループ大木 和彦ディレクター ジャパンセールスに話を聞いた。

レキサーは、SD、microSD、CF、XQDと主要なメモリカードの全てを製造、販売している唯一のメモリカードブランドだ。しかもいずれも世界最速か最速レベルを実現しており、高い開発力、技術力を有している。決して品質が悪いわけではないのだ。しかし、国内での認知度が低いのも事実だ。大木ディレクターは「もっと高い評価を受けてもいいメーカーなのですが」と歯がみする。

製品の開発には当然費用がかかる。開発費用を抑えてしまったらこれだけの高性能な製品を生み出すことはできない。ではどうしてこの安さを実現できたのだろうか。大木ディレクターは「内外価格差が大きく、日本市場のカードは高い」と説明する。

ワールドワイドで展開する場合、どうしても価格は為替相場に左右される。ここ数年、円高から円安に振れたことで、国内と国外の価格差が開いてしまった。その上に流通経費も必要になるため、より価格差は大きくなってしまう。

ここで、大木ディレクターは興味深いデータを見せてくれた。カメラ・レンズの海外通販で最も有名と思われる「B&H」のネット価格だ。その一つを紹介しよう。国内での平均単価が4万1500円だったサンディスクの「Extreme PRO CompactFlash 128GB」が、149.99米国ドル(4月15日時点)で販売されている。1ドル110円で換算した場合は1万6500円ほどだ。流通経費が加わったとしても倍以上の開きがある。このように高価格帯のメモリカードは海外サイトで購入した方が安いので、プロカメラマンの中には個人輸入している人もいるほどだ。

「しかし、並行輸入品や海外サイトで購入したカードは国内で保証対象外になることもあるし、並行輸入品の場合は偽物のリスクもある。こういった不安はユーザーのストレスになる。個人輸入や並行輸入品を購入する人が増えると、日本の正規販売店にとっても大打撃となる。大容量・高性能の高価格メモリカードの売り上げが正規販売店で伸びないのはそのためではないか」と大木ディレクターは警鐘を鳴らす。

「世界に誇るカメラメーカーを有する日本で、カメラに必須のメモリカードが国内で買いにくい。その矛盾を正したい。そのため、XQD2.0カードの発売をきっかけに、レキサー全製品の販売価格がワールドワイド価格に近づくよう最大限の努力をした」。「Professional 2933x XQD 2.0 128GB」のB&Hの価格は159.95米国ドル(1万7600円)。流通経費などは上乗せせざるを得ないが「限界まで近づけた」(大木ディレクター)結果、2万2500円の平均単価が実現できたわけだ。3月からの為替相場の変動や日本特有のポイントサービスを考えれば、内外価格差は確かに少ない。これがレキサーの安さの理由だ。

4月下旬には、同じくXQDに対応するニコンの「D500」が登場する。「D500がヒットすればレキサーのXQDも多くの人に手に取ってもらえるだろう。そうすれば、レキサー製品の性能やメリットをより多くの人々が実感してくれるはず。そう考え、新価格戦略を導入した。レキサーはいま、正攻法で攻めている。受け入れられなかったら仕方ないが、間違いなく受け入れられると信じている」と大木ディレクターは力強く語る。マイクロンの取り組みが、メモリカードの内外価格差を是正する一石となるか。(BCN・山下彰子)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

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