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『アナと雪の女王』『ベイマックス』のディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ズートピア』が4月23日(土)から公開になる。本作には、ウサギやキツネ、キリン、ゾウなど様々な動物が登場するが、製作陣は徹底的にリサーチを重ね、新技術を開発し、観客がスクリーンの中でキャラクターが本当に存在して、そこで暮らしていると思えるまで試行錯誤を繰り返した。夢が叶う街“ズートピア”で暮らす動物たちは、どのようにして生まれたのか? カリフォルニアにあるウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで取材を行った。

『ズートピア』/動画

『ズートピア』は、一人前の警官になることを夢見るウサギのジュディと、キツネの詐欺師ニックが、ズートピアの運命を左右する大事件の解明に挑む物語で、劇中には64種類の動物が登場。それらは同じ種でも異なるデザインで、実世界と同じ大きさで登場する。本作でヘッド・オブ・キャラクターを務めたデイヴ・コモロフスキは「キリンの高さに届くためには、97匹のネズミを重ねないといけないんだ。これは、すごくたくさんの問題を提供することになった。キリンはどうやってドアを通り、車を運転するのか。ネズミはどうするのか?そういうこと全部を僕たちは考えないといけなかった」と振り返る。

大小さまざまな動物たちが共に暮らすズートピアの景色は圧巻だが、プロデューサーのクラーク・スペンサーによると、スタッフが解決するのに最も時間と労力をかけたのは“サイズ”や“個性”ではなく、動物たちの“毛の表現”だったそうだ。「今作に登場する64種類の動物すべての毛を顕微鏡で研究した。北極グマの毛は、実は白じゃなくて透明なんだ。それに光が通過すると白く見えるんだ!」

そこでスタッフは8か月をかけて光線がそれぞれの毛の繊維を通過するところを完璧に表現できるプログラムを考案。透明な毛を“白”でごまかさずに“透明”に描いた。キャラクター・ルック・ディベロップメンント・スーパーバイザーを務めたミシェル・ロビンソンは「光が跳ね返れば跳ね返るほど、処理に時間がかかり、予算もかかるのよ。でも、それだけの値打ちがあると感じたの。ネズミは、エルサと同じくらいの毛の量(約40万本)が頭にのっかっているのよ。キリンは、約900万本の毛が体にあるの。それはスタジオの新記録だったわ」と笑みを見せる。

興味深いのは、キャラクター、プロデューサーなど職種は違えど、多くのスタッフが、“ハート”というフレーズを使うことだ。単にキレイで、可愛くて、凝ったCGではなく、スクリーンの中に本当に存在しているような、もふもふとした毛に触れたくなるような、小さな動物と同じ目線までしゃがみこんで話しかけたくような“ハート”のあるキャラクター。それこそが彼らのゴールで、そのためにスタッフは何年もかけて難題に挑んだようだ。

『ズートピア』
4月23日(土)全国ロードショー