『天日坊』会見より 『天日坊』会見より

臨場感のある演出や新しい趣向を取り入れ、毎回話題となっている「コクーン歌舞伎」。これまでも本火、本水、泥沼を使う演出や、椎名林檎の音楽、いとうせいこうのラップといった、従来の歌舞伎にはなかった要素が演劇的興奮を高め、多くの観客に支持されてきた。第13弾となる今年、河竹黙阿弥原作の『天日坊』を、人気脚本家・演出家の宮藤官九郎の脚本で上演する。

『天日坊』は黙阿弥の初期の作品で、ふとした野心から将軍・源頼朝の落胤になりすました天日坊が、東海道を下る途中、出会った盗賊夫婦によって思いもよらぬ自分の素性を知ることになるという話。化け猫退治や盗賊たちの活躍も描かれ、当時の世相ともマッチし大当たりをとった舞台。幕末に初演されてから実に約150年ぶりの上演となる。

4月27日、制作発表会見が行われ、出演の中村勘九郎、中村獅童、中村七之助と、演出・美術の串田和美、宮藤が登壇した。天日坊を演じる勘九郎は「初演からコクーン歌舞伎を支え、闘ってくれている串田監督、そして宮藤さんとご一緒出来るのは凄く嬉しいです。本当に賛否両論、大嵐の作品になると思いますが、それを楽しんでやりたいと思います」と挨拶。もうひとりの“カンクロウ”である宮藤は「今日は“カンクロウさん”と言われても、あっ俺じゃないなと思い、不思議な感じです」と場を和ませ、続けて「今回は150年位演じられていない歌舞伎が原作なので、これはいいなと。駄目だったら(原作の)黙阿弥のせいにできるなと(笑)。良いところは『そこ、僕変えたんです!』と言えるし」と相変わらずの宮藤節で笑いを誘った。コクーン歌舞伎に9年ぶりの参加となる獅童は「(今までは)現場で叱ってくれた勘三郎さんがいらっしゃいませんが、僕らの世代で引っ張って行かなくてはいけない。なんとしても面白くしたいと思います」と意気込みを語った。宮藤が初監督した映画『真夜中の弥次さん喜多さん』に出演経験のある七之助は「16歳で初めてコクーン歌舞伎に出させていただいた時に、手取り足取り教えてくださった串田さんと、映画でずっと一緒だった宮藤さん、ふたりの育ての親に囲まれてとても楽しみです」と話していた。

「渋谷・コクーン歌舞伎 第十三弾 『天日坊(てんにちぼう)』」は6月15日(金)から7月7日(土)東京・シアターコクーンにて開催。チケットは発売中。また、「信州・まつもと大歌舞伎 『天日坊(てんにちぼう)』は7月12日(木)から18日(水)まで長野・まつもと市民芸術館 主ホールにて上演される。チケットは5月5日(土・祝)より一般発売開始。

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