電力小売り自由化を契機にプランを見直す 「見える化」の導入が節電の第一歩

2016.4.22 12:3配信
電気計量器(メーター)

4月1日、家庭向け電力小売りの自由化がスタートした。これまで各地域の電力市場を独占していた「一般電気事業者」である電力会社のもつ特権がなくなり、地域に関係なく自由に電力会社を選べるようになった。いまや、通信会社やガス・石油元売りなど多数の企業が参入し、消費者の選択の幅が広がった。しかし、その選択肢の多さのため、どの会社に乗り換えるか「様子見」をしている人も多い。電力の自由化を賢く利用し、電気をお得に使おう。

●新生活が始まったいまだからこそ、電気プランの見直しを

電力の自由化、というと新電力会社に乗り換えると電気代が安くなると思っている人が多い。そのため、いざ電気代を比較してみると「思ったよりも安くならない」とがっかりした人もいるのではないだろうか。電力の自由化によって、電力会社を選べるという認識は間違っていないが、もう一歩踏み込んで「自分に合った電気プランが選べる」と捉え直してみよう。

東京電力エナジーパートナー(旧:東京電力)を始め、新電力各社も多数のプランを用意している。そのなかから自分の家庭にあったプランを選び、無駄を省くことが節約につながる。また、新プランは電気の単価が下がる場合があるので、さらに使用量を下げれば節約の効果がより増すだろう。

また、4月は新生活が始まる季節とあって、これから一人暮らしを始める学生や新社会人に注目しがちだ。しかし、子どもが一人暮らしを始めることで、夫婦二人での生活を始める世帯も多いだろう。世帯の構成人数が変われば当然、電気の使用量も変わってくる。電気プランを見直すいいタイミングだ。

●どれだけ使っているか、使い方を見直す

まず一番の早道は、どれだけ電気を使っているか見直すことだ。新電力プランに切り替えると無料でスマートメーターを取り付けてもらえる。これまでの電気計量器(メーター)の代わりとなるもので、電気の使用量を計測する機器だ。従来のメーターは検針スタッフが毎月各家庭を巡回し、前月と今月の数値を見比べ、1か月の電気使用量を算出する。

一方、スマートメーターは、検針スタッフによるチェックが不要で、自動的に30分ごとに使用量を計測し、電力会社のサーバーに情報を送信。集計などに2日ほどかかるが、利用者のPCやスマートフォン、タブレットなどで1時間ごとの電気使用量を確認できる。

つまり、これまでは1か月単位の使用量しか把握できなかったが、スマートメーターを付けることで使用量の多い時間帯、少ない時間帯を把握することができるのだ。最も電気を使う時間帯の電気単価が安いプランに変更すれば、これまで通りの使い方でも電気代を安くすることができる。逆に、電気単価の安い時間帯に合わせて家事をするのも一つの手だろう。

例えば、東京電力エナジーパートナーの「夜トクプラン8/12」は、夜11時から朝の7時、もしくは夜の9時から朝の9時まで電気単価が安くなるプランだ。夜に洗濯機を回して、朝洗った洗濯物を干す、一日のご飯を夜に炊くなど、機器の時間予約機能をうまく使いながら、夜のうちに電気を使ってしまうといいだろう。また夜中に掃除するのは騒音の関係で難しいが、ロボット掃除機やコードレススティッククリーナーの充電を夜間にするようにすれば、電気代を節約できる。

●HEMSを使ってさらに電気使用量を把握

電気の使用量をリアルタイムに確認したいなら、HEMS(Home Energy Management System)機器を導入する、という手もある。HEMSというとオール電化や太陽光発電パネルなどの大型の製品をイメージしがちだが、数万円程度の電力を見える化する機器、家電製品の操作ができるシステムなどもある。

例えば、東芝のスマートメーターに対応したホームゲートウェイ「HEM-GW16A」は屋外に設置するスマートメーターとワイヤレスでつながり、スマートメーターで計測した使用量をリアルタイムでスマートフォン/タブレットで確認できる。スマートメーターの場合、一度電力会社に情報を送り、精査するため時間がかかってしまうが、「HEM-GW16A」であればスマートメーターが計測したデータをリアルタイムで確認できる。

また、登録した家電をスマートフォン/タブレットでオン/オフの切り替えや操作ができる。東芝のクラウドサービス「フェミニティ倶楽部」を利用すれば、外出先から使用量を確認したり、家電の操作ができたりと便利だ。この「HEM-GW16A」の価格は税別3万円だ。

さらに、エネルギー計測ユニットを分電盤に取り付けると、各部屋ごとの使用量を把握できる。東芝ライテックの住空間照明機器事業部 住空間商品企画部 電材EMS商品企画担当の松下 寿郎グループ長に話を聞いたところ、「どの部屋の使用量が多いかが分かると、どの家電製品が電気を食うかがわかる。例えばキッチンでずっと電気が消費されているなら、冷蔵庫の消費電力が高いのかもしれない。冷蔵庫を省エネモデルに買い替えたら1か月の電気代が2000円近く安くなった、という話も聞いた」と説明する。

 現在は、ユーザーが電気の使用量を確認し、誰もいないのに電気が使われているから照明などを消し忘れたかもしれない、と気づいてもらっていたが、今夏以降は、消し忘れなどユーザーに必要な情報を通通知するサービスを提供する予定だ。

●集中型から分散型に切り替えて、基本料金を抑える

もう一つ、基本料金を抑えることで節約になる。従来の契約はアンペア数で契約をしている。このアンペア数は一度に使うことができる電気の量のことで、契約アンペア数以上の電力を一度に使うとブレーカーが落ちる仕組みだ。そのためブレーカー落ちを避けるために高めのアンペア数で契約している人も少なくない。

新プランでは、日々使っているなかで一番使用量の多かった時間のワット数を元に基本料金が決まる。例えば東京電力エナジーパートナーの「スタンダードX」プランの場合、1kW(10Aに相当)当たりの基本料金は561円60銭だ。例えば、エアコン、電子レンジ、洗濯機を一度に使うと、電気使用量がグンと上がる。その後、まったく電気を使わなかったとしても、一番使用量の多かった時間を基準に基本料金が決まるので、高くなってしまうのだ。分散して家電を使うことで、基本料金を抑え、節約することができる、というわけだ。

また、数年前は子どもと同居していたが、いまは子どもたちが独立してしまった家庭で、アンペア数を変更し忘れている世帯も少なくない。そういった世帯は電気代の基本料金を払いすぎているかもしれない。新プランでは契約プランを都度変更することなく、無駄を省くことができる。

スマートメーターは、2030年年度末までに全世帯に導入する計画だ。東電では一足早く2020年に導入する計画を出している。安い電力会社を探すのと同じように、まずは電気の使用量を知り、うまくプランを活用して電気代を安く抑えよう。(BCN・山下彰子)

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