上位浮上を狙う両軍が激突する。『明治安田生命J1リーグ』1stステージ第8節で4位・横浜F・マリノスと5位・サンフレッチェ広島が対峙するのだ。
横浜FMは上げ潮ムードにある。開幕戦こそ、中村俊輔をインフルエンザで欠き黒星スタートとなったが、その後は4勝2分と負けなし。中村が芸術的な弾道を描くFKで直接ゴールを奪うとともに、セットプレーでのアシストや流れの中でのラストパス、ゲームをコントロールする手綱捌きなど、相変わらずハイパフォーマンスを見せる。スピードに乗ったドリブルでシュート、チャンスメイク、プレスと躍動する齋藤学も好調。さらに長年課題だった決定力不足も解消しつつある。昨季、特別指定でデビューを果たした大卒ルーキーのFW・富樫敬真が3ゴールをマークすれば、第5節に初先発した新アタッカーのマルティノスとカイケもすでにゴールを記録。前節のジュビロ磐田戦では、5-1とJ1昇格組に格の違いを見せ付けた。さらに4月20日の『ヤマザキナビスコカップ』では、主力を温存し、サガン鳥栖に倍以上のシュートを打たれながらも、FW伊藤翔の決勝PKのリードを守り切り1-0で勝利した。
一方の広島も2分1敗とスタートダッシュでつまづいたが、ここ4試合は3勝1敗とポイントを積み重ねている。ピーター・ウタカが新加入とは思えない息の合った連携とダイナミックなプレーで、得点ランキング2位タイの5ゴールを量産する。ただ広島はアタッカー陣に不安が隠せない。新背番号10・浅野拓磨は戦線離脱し、野津田岳人は新天地へ去った。大久保嘉人とJ1最多得点争いを繰り広げる佐藤寿人もベンチを温める時間が多い。ボランチ・青山敏弘と佐藤のホットラインや右・ミキッチ&左・柏好文のサイド攻撃など、アタックの生命線も他クラブに研究され、分断されるシーンが散見される。1stステージ第6節・鹿島アントラーズ戦では、『ACL』での疲労を引きずり、1-4と完敗を喫した。さらにショッキングな出来事が。4月20日、山東魯能戦でもゴールを割ることができずに、『ACL』グループステージ敗退が決まったのだ。リーグ戦で復調の兆しを見せていただけに、再びブレーキがかかるのか否か、次節が分岐点となる。
J1リーグ直接対決では29勝4分15敗と横浜FMがリードする。ただ昨年は広島が連勝し、2013・2014年は横浜FMが4連勝を飾っている。好調の波に乗って、上位進出を果たしたい横浜FMと『ACL』の悪い流れを断ち切りリーグ戦にフォーカスしたい広島。両軍の対決は4月24日(日)・日産スタジアムでキックオフ。