舞台『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 囲み取材の模様 撮影:伊東和則 舞台『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 囲み取材の模様 撮影:伊東和則

舞台『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が、4月21日、東京のZeppブルーシアター六本木にて開幕した。原作はミステリー作家・東野圭吾の大ヒット小説で、2013年にキャラメルボックスが初舞台化。今回はキャストをほぼ一新したプロデュース公演となる。初日直前にはゲネプロと囲み取材が行なわれた。

物語はコソ泥を働いた青年3人組が廃屋になった雑貨店に逃げ込み、そこに届いた悩み相談の手紙を見付けたところから始まる。青年たちが遊び心から返事を出してみると、すぐに3人の書いた手紙への返事が届く。しかも、差出人は数十年前の時代の人間だった……。

悩みを抱えた過去の人間と、現代を生きる青年たちによる手紙のやり取りが始まる。なぜそんなことが起こったのかというミステリー要素を含みながら舞台は進行する。一見無関係に見える登場人物たちが、不思議な縁でつながっていく展開に目が離せない。その理由が明らかになった時、心がふわりと温かくなるストーリーだ。

青年3人組を演じるのは多田直人、松田凌、鮎川太陽。3人のイキイキとした会話が物語を明るく彩る。囲み取材では、初演からの継続キャストである多田が「初演とはまた違った関係性と演出がある。感じ方が変わると思うので、初演を観た人にこそ観て頂けたら」とアピール。松田も「ファンタジーの先にリアリティが感じられる。観ている人それぞれに刺さる部分があると思います」と見どころをコメント。鮎川が「この作品に“ありがとう”という気持ちになってもらえたら嬉しいです」と呼びかけた。

脚本・演出の成井豊は「現実的だけれどロマンチックでもありスリリングでもある、非常に豊かな物語。色んな人が集まったカンパニーですが、稽古もゲネプロも順調でした。ここからさらに上を目指してやっていきたい。毎日進化していくお芝居だと思います」と語り、4年ぶりの舞台出演となる川原和久について「役にピッタリだから是非」と出演を頼み込んだ経緯を明かした。ナミヤ雑貨店の店主を演じる川原は「物語のバックにキッチリこの人物が生きていないと作品の面白みが増してこないので、一生懸命やらせて頂いています」とコメント。多田が「(川原さんは)見た目は怖いけど、初めてお会いした時から新人の私にも優しく声をかけて下さった。今回の稽古中もたくさんご馳走になりました」と明かすと、松田と鮎川も川原に優しくされたエピソードを披露。川原が「じゃあ、寿司行くか!」と掛け声をかけ、一同が歓声を上げるなど仲の良さが伺えた。

公演は5月1日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、5月6日(金)から8日(日)まで大阪・シアターBRAVA!にて上演。

取材・文:片桐ユウ