直近のインバウンド事業の状況について記者団に語るビックカメラの宮嶋宏幸社長

ビックカメラの宮嶋宏幸社長は4月27日、東京の羽田空港にオープンした「Air BIC CAMERA 羽田空港国際線ターミナル店」の記者会会見で「通期(2016年8月期)のインバウンド事業の売上高は約500億円の着地予想を見込んでいる」と語った。

●インバウンドに一服感

前期(15年8月期)のインバウンド事業はビックカメラ単体の売上高の約10%である約400億円だったので、今期着地予想の500億円は前年度比125%の伸びとなる。

これは上期(15年9月~16年2月期)の170%より低い伸び率で、インバウンド需要に一服感が出てきたことを示す。

宮嶋社長は「中国からの旅行客が減ってきている。これまで全体売り上げの55~60%を占めていたのが、50%を切るようになった」と語った。4月8日に中国政府が海外で購入した商品を国内に持ち込む際の関税を引き上げた施策の影響もあるとみられる。

宮嶋社長は国別の消費金額について、「中国人旅行客の平均単価は4万5000円から、4万円を切るようになった」としながらも「台湾のお客様が増え、平均単価は4万円以上に上がった。全体でも上期の客数は前年同期比の2倍」など、他国からの旅行客が増えている状況だ。

中国人旅行客による「爆買い」の勢いはなくなったものの、他国からの客数が増えるなど、インバウンド事業は安定的なフェーズに入りつつあるようだ。(BCN・細田 立圭志)