数年前、「チーム最高」と名付けたトリオでよく飲んでいた。

♂ひとり、♀ふたりの三人には恋人がいなかった。
皆、独身のひとりぐらし。
せんべろ酒場好きの三人は飲み歩き、互いを「いやあ、最高だよ」と褒め称え合い、
ばかかと思うほど乾杯を繰り返し、ハイタッチの手が勢いあまって
自販機に激突するほどよく飲んだ。

ことばにはしなかったけれど、何が最高かというと、
組織や家庭などのしがらみにとらわれることなく、
スーパー自由に生きてるうちらって最高だよな、ってことだと私は解釈していた。

ある日、そのうちの♀・Yちゃんが恋人が出来たと報告してきた。
ついては、もう一人の♂・Mさんと私をくっつけようという見当違いな
配慮さえも感じられたが、そのときにはもうYちゃんは結婚を決めていた。

Mさんは四十路をとっくにすぎたひげのおっさん。
飲んでると笑いがとまらなくなるほど気が合うが、
ふだんは男らしさのかけらもない中年だ。
私はYちゃんの結婚を残念に思った。
それはチーム最高の崩壊を意味していたから。

さみしさをぬぐいきれぬまま、Mちゃんにお祝いの言葉を送った。すると、
「結婚は素晴らしいけれども、同じくらい独身も素晴らしいことだと思います。
なのでよしえちゃんはだいじょうぶです」
ぜんぜんだいじょぶな気がしなかった。
これからわーいわーいと花嫁になる人が独身がすばらしいと言っても、だ。
予想通り、チーム最高は自然消滅してしまった。