ミステリーだらけの4~5月期の連ドラ。その最後に登場したのが、夏樹静子原作の『Wの悲劇』(テレ朝系木曜9時)だ。主演は、オスカープロモーションで売り出し中の武井咲。『平清盛』(NHK日曜8時)で常盤御前役をやりつつ、民放のゴールデンでも主役というのは、ちょっと急ぎすぎかも、と思ったが、見てみるとやはり非凡なセンスは発揮していて、意外と面白く見られる作品になっている。

全日本国民的美少女コンテスト出身の武井咲を、女優として自分が最初に認識したのは、2010年7~9月期の『GOLD』(フジテレビ)だった。その前にも『オトメン』や『ライアーゲーム』に出演していたが、あまり印象には残っていない。『GOLD』は野島伸司の作品で、キャラクターがかなり複雑だったにも関わらず、堂々と演じていたので印象に残ったのだ。とくに印象的だったのは、やはり目。若いのにやたら目力のある人だなあ、というのが最初の印象だった。

その翌年、2011年1~3月期に出演したのが、月9の『大切なことはすべて君が教えてくれた』。これは戸田恵梨香と三浦春馬が主演した作品で、婚約中の高校教師が女子生徒と一夜を共にしてしまうところから始まるドラマだった。視聴率は悪かったが、実はこれも野島伸司的な愛の本質を探る物語で(脚本は安達奈緒子)、かなり見応えのある作品だった。

その中で、重要な女子生徒役を演じていたのが武井咲。この時すでに、主役の2人を食ってしまうくらいの存在感があった。事務所的にはどのみちしばらくは推すつもりだっただろうけど、制作サイドとしては、この作品で武井咲は本当に使えると見込んだんじゃないだろうか。結果的に、その次のクールの『アスコーマーチ』(テレ朝系)で23時台の主演を務め、今年になってNHKの大河ドラマ出演と民放ゴールデンタイムの主役をゲットしている。

さて、そんな武井咲が主演している『Wの悲劇』。タイトルは、薬師丸ひろ子が主演した映画でもお馴染みだろう。ただ、内容はまったくの別物と考えた方がいい。そもそも、映画も原作とは違っていた。映画は、舞台女優を目指す女性が、劇団内で起きた事件とスキャンダルに巻き込まれながらも成り上がっていくストーリー。原作の内容は、映画の中で劇団が演じる舞台公演のストーリーとして組み込まれていた。つまり、原作の外側にオリジナルストーリーを加えたのが、薬師丸ひろ子版の映画だ。