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ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ズートピア』が公開され、人気を博している。本作の舞台は、進化した動物たちが暮らす理想の都市ズートピアで、様々な大きさ、生態の動物たちが共に暮らしている。映画を観ると思わず行ってみたくなる世界はどのような過程を経て誕生したのだろうか? カリフォルニアにあるウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで取材を行った。

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本作のプロダクション・デザイナーを務めたデイヴ・ゲッツは、ズートピアについて「全体を通して、動物と人間の世界を組み合わせているんだ。観客が都会的かつ人間っぽい環境だと認識できて、同時に、動物が作った街だと感じられるようにしたかった」と説明する。街は、砂漠の動物たちが暮らすサハラ・スクエア、とても寒いツンドラ・タウン、熱帯雨林のような気候のレイン・フォレストなど魅力的なエリアに分かれている。「ズートピアはあらゆる動物たちが移住してくる街だから、彼らを整理するひとつの方法として、監督たちは気候で分けることを思いついたんだ。たとえば、もし北極圏の動物なら、住み慣れた環境に暮らしたいと思うはずだと考えたんだ」

さらに街では小さなネズミから巨大なキリンまで様々な動物たちが同じ空間で暮らしているため、出口や通路には様々な工夫が施されており、1度観ただけでは気づかないほど細かな部分まで時間をかけてデザインが決められた。

その上で、これらのデザインにはすべて「ロジックがあり、裏話がある」とアート・ディレクターのマティアス・リクナーは言う。「脚本家から、ジュディには兄弟姉妹が200羽いると言われた。そういう家庭は子だくさんで、家族全員が食事をとる必要がある。そこで、真ん中にゆっくりと回転する場所を設けることを思いついたんだ。子どもたちはテーブルをセッティングして、食事をとる。別の子どもたちは食器を片付けていて、再びテーブルがセッティングされる。それが1日中続くんだ。これは実際には採用されなかったんだけどね。僕らのデザインの80パーセントは最終的には採用されないんだ。でも、そういったデザインを経て完成へと導かれる。ズートピアでは背景にたくさんの動物がいて、常に小さなストーリーが展開しているんだ」

映画『ズートピア』では、すべての道路に、建物に、小道具に、自動車にスタッフにアイデアが注ぎ込まれていて、そのすべてが“ストーリー”を魅力的に語るために存在する。歩道が狭ければ、ふたりの距離は近くなる。濡れると滑りやすい場所で誰かに追われたら、サスペンスはグッとスリリングになる。夢のハイテク都市“ズートピア”で一体、どんな物語が語られるのだろうか?

『ズートピア』
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