別の世界で活躍していた人がマスメディアによって「発見」され、タレントの仲間入りを果たす。タレント文化人とはそういうものだという先入観があり、勝間和代もそうした形で有名人の仲間入りを果たしたのだと漠然と思っていた。だがそうではなかったのだ。勝間にとって有名人になることは、必然的かつ論理的に選択した生き残り戦略だった。そして勝間は、極めて計画的にこのビジネスに乗り出したのである。

 有名人になるため、すなわち自分という商品を市場に育ててもらうためには以下の5つのステップが必要だと勝間はいう。

ステップ1 自分の商品性を把握し、顧客やパートナー、競争相手を特定する。

ステップ2 自分がターゲットとする市場について、セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニングを行う。

ステップ3 自分を売り込むためのサービスを開発し、そのサービスの提供プロセスを管理する。

ステップ4 自分がつくったサービスを普及させるための適切なチャネルを見つける。

ステップ5 自分のサービスに適切な価格をつけ、品質を保証する。

 これは売名行為とは一線を画した考え方だ。一瞬だけ名前を売るだけならば誰にでもできる。たとえば選挙の泡沫候補の中には、瞬間的に目立つことだけを目的とする人がいる。立候補は一定の資格さえ満たしていれば誰にでも可能だから、ターゲットを設定する必要はない。瞬間だけ目立てばいいのであれば、反社会的行為に出るという手段もある。ただしそこには、サービスを提供して他者に受け入れられるという要素は皆無である。

 需要のあるところに価値のある商品を届けようというものだから、勝間の考えは極めて合理的なものだ。ただ、その商品が自分自身であるということだけが特殊なのである。もちろんすべてがうまく行ったわけではなく、勝間の思い込みからくる行き違いや、自身の商品価値を過信したせいで誤解を受けたことも多かった。秋元康にはこんなことを言われたという。

「勝間和代は、勝間和代の考え方がウケていると思っているが、それは誤解である。勝間和代というキャラクターそのものがウケているのだ」