女優・前田敦子を「品定め」。『毒島ゆり子のせきらら日記』の面白さから見えてきた、新・可能性

2016.5.11 12:30

前田敦子主演の連続ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』第3話が、平均視聴率3.6%を記録。ドラマの面白さから見えてきた、女優・前田敦子の新たなる可能性を探ってみたい。

5月4日に放映された前田敦子主演の連続ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』第3話が平均視聴率3.6%を記録した。

これは昨年10月にスタートしたTBSの深夜枠「テッペン!水ドラ!!」としては最高の数字。2.1%でスタートした『毒島』だが、第2話で2.3%に。ここにきて一気に急上昇した。
 

「深夜の昼ドラ」を標榜し、「ドロドロの恋愛劇」になることが予告されている本作だが、スキャンダラスというより、純粋に良質のドラマである。

駆け出しの政治記者である主人公は、家庭環境が原因で恋愛に関してはあえて二股を選択しつづける女性。

つまり、根本的には男性不信でありながら、「裏切られる前に、あらかじめ裏切る」という矛盾を抱えて生きている。

キャリアに邁進するわけでもなく、恋愛に依存するわけでもない。

むしろ、仕事と恋の両輪を、いかに回転させていくか。世の多くの独身(に限らないかもしれないが)OLにとっての大命題を、ポップなタッチで、ときにファンシーな描写も交えつつ、シリアスに傾きすぎないバランスで、しかし、真面目に丁寧に描いている。

そう、一見、アンバランスに映るヒロイン像は薬味としてのデフォルメにすぎず、本質的には等身大の「わたしたち」の生と性が見つめられているのだ。

すなわち、これは、いい意味で「普通」のドラマだ。
 

前田敦子という女優は、『マジすか学園』(第1シリーズ/2010年)や『Q10』(2010年)など幾つかの例外はあるものの、基本的には連ドラよりも映画と相性が良かった。

AKB48を卒業した2012年以降、彼女は山下敦弘、中田秀夫、黒沢清、三池崇史、廣木隆一、堤幸彦といった人気監督たちの作品に出演。唯一無二の演技表現をスクリーンで披露している。

写真は上映中の映画「モヒカン故郷に帰る」より

演じているときの彼女には独特の存在感があり、だからこそ「普通」の役はフィットしなかった。詳細は省くが、代表作『もらとりあむタマ子』を筆頭に、彼女の出演映画に「普通」の役はほとんどない。

たとえ「普通」のヒロインを演じても、たとえば『イニシエーション・ラブ』のように、その「普通」はギミックと裏表の関係にあり、反転する運命にあった。逆に言えば、映画とはそうしたメディアでもある。「日常」よりは「非日常」を志向するのが映画なのだ。

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