女子アイドルだけの舞台や、ミュージシャンとの和製ミュージカルなども作りたい

――拝見するのを楽しみにしています!さてさて、これからは、どんな活動をしていきたいですか?

根本「やりたいことは、たくさんあるんです。まずは、劇場の規模をもう少し大きくしたいですね。あと、自分の年齢が上がってきて、若い役を演じるときに、自分にはできないって思ったりすることもあって。

それこそ、アイドルさんとか、若い人、10代の人とだけ、芝居を作ってみたいですね。若い人の方がセリフ覚えもいいですし。まぁ、すごく大変でしょうけど。」

――演劇女子部や劇団ハーベストのようなプロジェクトを根本さんが手がけたら面白い…。

根本「あとは、二年連続でミュージシャンの方と作品を作っているんです。大森靖子さんやおとぎ話さん。ミュージシャンとコラボしながら、いつか、ミュージカルが書きたいですね。まぁ、ミュージカルって予算がかかるので人のお金で芝居作らせてもらえる時に。(笑)大変ですけど。」

――おお、それも楽しみです!今日はありがとうございました。

根本「ありがとうございました。」

強烈ママとマザコン男が織りなす奇天烈家族絵巻!『忍者、女子高生(仮)』レポート

では、公演当日のレポートをお送りします。週末の公演、かなりの大盛況!印象的なのは、客層がかなり幅広いこと。老若男女偏りなく、といったところです。根本さんがいろいろな層に注目されていることがわかります。

強烈ママが圧倒的なインパクトでストーリーに君臨!

撮影 永峰拓也

物語が始まると、お客さん全体の視線はくぎ付け。広い客席を相手に、非常にわかりやすく、ホームドラマのようなストーリーが展開していきます。と言っても一筋縄ではいきません。

17歳の女子高生、咲良の母であるミチコは58歳。女手一つで4人の子供たちを育て上げた彼女の再婚相手は、咲良の担任、太一24歳!

そして咲良の3人の兄は、3人ともに母を「ミチコ!」と下の名前で呼び、何よりも優先するなど強烈なマザコン。それぞれに妻がいるのですが、全員がミチコと夫の支配下に置かれていて…。

撮影 永峰拓也

このストーリーで中心となるのは、やはり一家の「お母ちゃん」であるミチコ。ともかく女子力高くて、ともかく人の嫌ぁなところをついてくるような発言を連発するんです。

特に、男の子が待望されているのに二人目も女の子を妊娠した、という三男の嫁に対するイビリは、見ているこちらが冷汗をかくような厭らしさ。こういう人いるかも…と言いたくなる完成度です。

そして、このお母さん、インタビューの中でも語られましたが、三兄弟役の3人の男性が順番に演じているんです!劇中でも入れ代わり立ち代わり演じていることを忘れるほどの完成度でした。

リアルさと過激さの合間を縫う根本流脚本&演出に脱帽

撮影 永峰拓也

事前のインタビューからは、もっと混乱したカオスな舞台が広がっているのかと思いきや、さにあらず。非常に丁寧に、そして特徴的にそれぞれのキャラクターが描かれていきます。

ともかく、3人の息子たちのマザコンぶりが、男性の自分でも見ていてイライラするほど徹底しています。ただ、怒り心頭になっている妻やパートナーからしたら、男ってああいう風に見えているのかもしれません。

そして、この舞台で特筆すべきなのが、劇中の夫婦喧嘩シーンがとんでもなくリアルなこと。夫婦で小さなことから言い合いになり、論点はずらされ、話題は変わり、意図は伝わらず、話は大きくなり…。

見ていて、これも胃がキリキリしてきます。うちの夫婦喧嘩見てました?!と聞いてみたくなるほど。これも、人物観察力と非凡なライティング能力の賜物なのでしょうか。

撮影 永峰拓也

同時に、女子高生の末娘、根本さんご本人が演じる咲良の存在は一服の清涼剤。ジョーカー的なキャラクターの咲良は、いびられる3人のヨメたちが口にしたくても言えない「気持ち悪い!」「何アレ!」なんて言葉を代弁してくれます。

全編、登場人物、それぞれにわかりやすいキャラクター付けと血が通った描写がなされているんです。リアルと過激の合間を縫うような脚本と演出、根本さんの才能には舌を巻くばかり…。