ミュージカル『ラ・マンチャの男』 稽古場の模様 

日本初演50周年となるミュージカル『ラ・マンチャの男』が9月7日より大阪のフェスティバルホールで開幕している。初演からセルバンテス/ドン・キホーテ役を演じ続け、本作品を自身のライフワークと位置づける松本白鸚は、今年8月19日に喜寿を迎え、帝国劇場で上演される10月19日17時の部で通算上演回数1300回を突破する予定だ。初日を前に東京都内で公開された、通し稽古の様子を取材した。

【チケット情報はこちら】

スペインの小説『ドン・キホーテ』を原作とした『ラ・マンチャの男』がブロードウェイで初演されたのは1965年。日本初演は69年4~5月で、市川染五郎(現・二代目松本白鸚)は26歳だった。70年には、日本人として初めてブロードウェイから招待を受け、名門マーチンベック劇場にて計60ステージに立った。以降これまでの上演回数は1265回にも上る。

舞台は、16世紀末、スペインのセビリアの牢獄。投獄された『ドン・キホーテ』の作者であるセルバンテスは、牢名主からの追求を逃れるために、他の囚人たちを巻き込んで、『ドン・キホーテ』の劇を演じ始める…。

この日の通し稽古は、オーケストラと衣裳がついた、本番に近い稽古だった。主演の松本白鸚は、とても77歳には見えない、力強く、熱のこもった芝居。6月に行われた製作発表では「真新しいラ・マンチャでございます。何しろ主演の俳優の名前が変わりましたから!」と挨拶し、笑いを誘っていたが、改めて白鸚のすごさは、この年になっても、何度も立った舞台であっても、常に自身の限界に挑んで、変化を楽しんで、観客の心を動かせることなのだと知る。

白鸚演じるドン・キホーテが想い姫と慕うアルドンザ役は、本作初出演の瀬奈じゅん。元宝塚歌劇団のトップスターらしく、激しいダンスをこなし、伸びやかな歌声を披露していた。また、セルバンテスの従僕であるサンチョ役は駒田一。駒田自身、サンチョ役10年目ということで、主人への愛がより溢れ出ていたように思う。

公演のキャッチコピーは「遍歴の旅はクライマックスへ」。ミュージカル史に残る“遍歴の旅”を、ぜひ心に焼きつけてほしい。

上演時間は約2時間5分(予定)。大阪公演は12日(木)まで。宮城公演は9月21日(土)~23日(月)東京エレクトロンホール宮城。愛知公演は9月27日(金)~29日(日)愛知県芸術劇場大ホール。東京公演は10月4日(金)~27日(日)帝国劇場。チケット発売中。チケットぴあでは東京公演のOVER50向けの企画チケットを発売中。

取材・文:五月女菜穂