脚本家・末満健一氏が腕をふるったストーリー

そもそも原作であるゲームにはストーリーたるストーリーがないので、ある意味脚本が難しかったのではないかと思う。しかし、そこは脚本・演出の末満健一氏の手腕によって、違和感のない舞台作品に磨き上げられていた。私が見たところ、原作ファンからも脚本への賞賛コメントが少なからずあったようだ。

個人的には物語中でのポイントとなる不動行光役の椎名鯛造氏が、また良い味を出していたと思う。明るいキャラクター、その陰に隠れた鬱屈とした想い、刀剣男士としての意識の芽生え……。正直、舞台のあらすじを読んだときは感情移入して見られるストーリーだとは思っていなかったため、かなり意外な物語進行に新鮮な驚きを覚えた。その驚きは、ぜひライブビューイングや配信、DVDなどで実際に確認していただくのがよろしいだろう。

手前が不動行光役の椎名鯛造氏。染谷俊之氏は、斎藤壮馬さんのCV 撮影:小林裕和が聞こえてきそうな鶴丸国永っぷりである手前が不動行光役の椎名鯛造氏。染谷俊之氏は、斎藤壮馬さんのCVが聞こえてきそうな鶴丸国永っぷりである 撮影:小林裕和

とにかく豪華なキャスト陣を見よ!!

他の刀剣男士についても、例えば薬研藤四郎役の北村諒氏の半ズボン姿が美しかったとか、鯰尾藤四郎役の杉江大志氏のひらひらと動く殺陣に釘付けになったとか、一期一振役の廣瀬大介氏のアンニュイな微笑みがっ……! とか、燭台切光忠役の東啓介氏から大人の色気が感じられたとか、和田雅成氏演じるへし切長谷部が底光りする存在感を発揮しているとか、鶴丸国永役の染谷俊之氏の衣裳あしらいがさすがすぎるとか、書きたいことはたくさんあるが……とりあえず、直接観ていただくのがこの感動をわかちあっていただく一番の方法だと思うので、まずは観劇をオススメしておく。

長身を活かした大胆な殺陣を見せた東啓介氏(燭台切光忠役) 撮影:小林裕和長身を活かした大胆な殺陣を見せた東啓介氏(燭台切光忠役) 撮影:小林裕和

manzo氏とテルジヨシザワ氏の舞台音楽も、衣裳のクオリティも、脚本も、総じてクオリティはかなり高いと筆者は思う。

舞台『刀剣乱舞』通称“刀ステ”は、20日(金)を千秋楽として公演終了となる。チケットはソールドアウトだが、千秋楽当日は全国でのライブビューイングが行われ、27日(金)からはDMM.comにて公演の配信も行われる予定だとのこと。もちろんBD/DVDの発売も決定している。

まずは奇跡のキャスト陣がそろったこの舞台を、一度確認して欲しい。この筆者の情熱が、読んでいる方に届けば幸いである。

 フリーランスエディター・ライター。原宿系ファッション誌の編集者などを経て、2014年独立。ファッション、アニメ、マンガ、ヴィジュアル系、腐女子などのカルチャー分野について執筆。