初のカンヌ映画祭を振り返った阿部寛

 映画『海よりもまだ深く』の初日舞台あいさつが21日、東京都内で行われ、出演者の阿部寛、真木よう子、樹木希林が登壇した。

 是枝裕和監督がメガホンを取った本作は、“成りたかった大人に成れなかった大人たちの物語”。かなわぬ夢ばかりを追い続ける情けない主人公、良多を阿部が、そんな良多に愛想を尽かし、一人息子と共に家を出た元妻を真木が、良多の母を樹木が演じた。

 本作は、現在開催中の「第69回 カンヌ国際映画祭」の「ある視点」部門に正式出品されており、是枝監督はこの日の会場に“等身大パネル”として登場した。

 一足先に帰国した阿部は、今回が初カンヌとなったが、「思ったよりも人がたくさんいて、活気もすごかった。天気も良くて夢のような3日間だった」と報告。レッドカーペットも初めて歩いたと言い、「距離的にはそんなにないけど、“ここか!”と思った。あの経験は一生忘れないだろうなと思う」と振り返った。

 『そして父になる』以来、2回目のカンヌとなった真木も「前回のカンヌは、連日どしゃ降りだったけど、今回は晴天に恵まれてきれいな町並みを歩くことができました」と笑顔を浮かべた。

 一方、樹木は「ばあさんが行くところではないなと思いました」と言い切り、司会者から現地で披露した振り袖姿を褒められるも、「あれはね、着るものがなくて、うちの娘が20年前に結婚した時のお色直しの振り袖なのよ。あの時も古着だったけど、余計に古着になっちゃった」と明かして笑わせた。

 さらに、現地の観客と一緒に本作を鑑賞した阿部は、上映終了後、約7分も続いたスタンディングオベーションについて「本当にうれしかった」としながらも「もっと居たかったですけど、樹木さんが『もういい加減に帰りましょう』と言うので泣く泣く帰りました」と残念そうに告白。

 これに樹木は「恥ずかしい。あれに耐えるというのは、なかなか…。う~ん」と苦笑いだったが、現地での阿部の様子については「何しろ、この風体があのカンヌにぴったりなの。(映画の舞台となった)団地よりもそっちの方がぴったりだった」と語った。

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