フランス流!? 人間関係の築き方

川内有緒『パリでメシを食う。』

パリで生活する10人の日本人への取材を通して「旅するパリ」ではなく

「パリで生き抜く」を体感できる一冊。

パリに住んで十数年、ヨーロッパ各国を飛び回るカメラマン、シュンさん。カメラマンの仕事が軌道に乗り始めたばかりの頃、恋人との間に子どもができる。でも、結婚はしていない。シュンさんは

「駆け出しのカメラマンだった僕にとって、恋人が妊娠してしまったのは晴天の霹靂でした。自分一人の生活すら覚束ないのに。でも、生まれて来るからには、責任取るだけです」出典『パリでメシを食う。』

と言う。

結婚というかたちではないけれど、子どもに責任を果たす関係。カメラマンの仕事についても

「中にはやりたくない仕事もあります。でも、家族への責任を果たすために引き受けてる」出典『パリでメシを食う。』

と話します。日本では、責任を取る=結婚と考えることが多い。フランスにおけるパートナーとの繋がり方の多様性を知ると、家族関係や、パートナー関係はそれぞれ違っていいのだと気付く。

オヤジ目線で……

浅田次郎『かわいい自分には旅をさせよ』

一冊で、京都、北京、シチリア、パリ、ラスベガス……を訪れることができる、浅田次郎の随筆集。オヤジ目線で見る、おしゃれな街パリに注目。

「ふしぎなことには、二十代、三十代の若い男たちはさほどでもない。こちらはむしろパリジャンに比べればあきらかに田舎くさい。しかし四十代になると、美しく装うことがまるで習性でもあるかのように、誰もがカッコよくなるのである」出典『かわいい自分には旅をさせよ』

 美しい女性よりも、著者の目を奪うのは男性のカッコ良さ。それも、おそらく彼が意識しているのは、同年代の男性。若者より、年齢を重ねた男女の方がかっこいいのだと、著者の目を通して体感!