しかしその後間もなく、蓮佛は念願(?)の海外へと旅立つことになる。しかも自ら主演を務めた作品を携えて、である。現地4月20日から28日の8日間、イタリアで行われた欧州最大規模のアジア映画祭『第14回ウディネ・ファーイースト映画祭』のコンペティション部門に、蓮佛の主演作『RIVER』(監督・廣木隆一)が正式出品されたのだ。

『ウディネ・ファーイースト映画祭』はイタリアで毎年行われるアジア映画専門の映画祭。例年、日本作品も多く上映されており、今回は『RIVER』のほかに『アフロ田中』『軽蔑』『ハードロマンチッカー』『モテキ』『ハラがコレなんで』『レンタネコ』『極道めし』『こどものみらい いん ふくしま』『テルマエ・ロマエ』『キツツキと雨』という、バラエティ豊かな計11作品が上映された。

『RIVER』は、日々大量の人が入り乱れ変化し続ける街、秋葉原が舞台。蓮佛が演じる、‘08年に起きた秋葉原無差別殺傷事件で恋人を失った女性ひかりは、秋葉原の街でさまざまな人々との出会いを通し、現実と向き合っていく。殺傷事件、そして昨年の東日本大震災というふたつの悲劇を経て、人はいかに希望を見出していくのか。普遍的なテーマをたたえつつ、いまの日本を色濃く反映した本作は、今回の映画祭で世界の観客の眼にどう映ったのか。上映後の舞台挨拶を終えたあとの蓮佛のコメントから、その様子の一端が窺える。