村上龍の大ベストセラーを「A.B.C-Z」の橋本良亮と河合郁人を主演に迎えて音楽劇として舞台化した『コインロッカー・ベイビーズ』がついに開幕!

葛藤や衝動を乗せた歌声に加え、美しき裸体を惜しみなく見せつけ、さらには破壊力たっぷりのキス&ベッドシーンも!? 魅惑の舞台の模様をレポート!

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「衝撃のオープニングです。オシッコをちびります。オムツを忘れずに!」

村上龍が1980年に発表し、若者たちのバイブルとしてセンセーションを巻き起こした小説が、舞台となり36年の歳月を感じさせることなく現代社会に鋭い問いを突き付ける。

コインロッカーに捨てられるも奇跡的に生き残ったハシ(橋本)とキク(河合)。生まれながらにして狭い壁の中で絶望を刻みつけられた2人の葛藤や破壊への衝動を生々しく描き出す。

共演陣に真田佑馬、ROLLY、芋洗坂係長、シルビア・グラブ、昆夏美ら、期待の若手、実力派、変化球(?)まで多彩な顔ぶれが並ぶが、オープニングから圧巻!

父親や母親によりコインロッカーに捨てられ、死んでいった無数の赤ん坊たちとして、半裸状態によだれかけとオムツ姿の男女が現れ、その中心には同様の格好になぜかアフロのROLLYが!

激しい歌とダンスでコインロッカーに放置された苦しみが表現される。開演前の取材でROLLYは「衝撃のオープニングです。オシッコをちびります。オムツを忘れずに!」と警告を発していたが、オムツをしてるのはROLLYというまさかのオチ……。

そしてそこに、奇跡的に救出されたハシとキクが登場するが、初っ端から橋本と河合は上半身裸でエンジン全開! 第1場から圧倒的なエネルギーで観客を引きずり込んでいく。

特徴的なのがハシとキクの歌声のハッキリとした違い!

ハシとキクは、コインロッカーに放置されていたという事実を忘れたまま、養父母に引き取られて育てられるが、ひょんなことから心の傷がパックリと開いてしまい、実の母に捨てられた過去を思い出す。

衝撃のあまり、姿を消してしまうハシ…。その後、ハシは謎めいたプロデューサーのD(ROLLY)との出会いを経て、歌手としてカリスマ的な人気を獲得して成功の階段を昇りはじめる。

そして、TV局が話題作りのためにハシと実の母親の感動の対面を画策。キクはハシを救おうと銃を手に現場に向かい、そこから一気に物語は動き始める――。

全編を通して、登場人物たちが葛藤や愛、絶望を歌声に乗せて表現するが、やはり特徴的なのがハシとキクの歌声のハッキリとした違い!

橋本がハシのナイーヴさや母への思い、捨てられた哀しみを切なく歌い上げるのに対し、河合演じるキクの歌声にはハッキリと怒りや絶望が反映されており、河合もその激情を「歌というよりも魂の叫び」と語る。

途中、橋本は上半身どころかズボンまでも剥ぎ取られ、パンツ一丁で切なくも美しい歌声を響かせる一幕も!