ウェディング関連アイテム販売会社の子連れ出勤事情

続いては、ウェディングペーパーアイテムのオンラインショップ「ARARS」を運営する株式会社プチトリアノンの子連れ出勤事情。

デザイナーであり、自ら起業してプチトリアノンを立ち上げて以来、14年目の山内美穂さんは、会社経営と3人の子の子育ての両立の日々を送っている女社長ママです。

プチトリアノンでは、子連れ出勤を許可しているそうですが、どんなルールがあるのでしょうか?

山内美穂さん(以下、山内)「子どもが小さいスタッフは、在宅業務を基本としており、週に1度、できあがった商品を『納品』という形で持ち込み、次の仕事を持ち帰るための出勤をしています。

子どもの習い事や幼稚園の迎え時間に合わせて都合の良い時間に納品出勤してもらうのですが、子どもを連れて来ることも多いです。

小さなオフィスですが、もちろん子どもも入ることができます。出勤しているスタッフも子育て中の女性なので、相手をしてくれたり、子ども自身も『ママのお仕事に一緒に行く』と張り切ってくれているので、走り回ったりいたずらしたりということもありません。

私自身が出産した当時も、保育園が決まるまでの間、よく子連れ出勤していました。寝返りを打たない頃はデスクの上で転がっていたよねーと今でも話題に上るくらいです。

全員、子育て経験のある女性スタッフなので、子どもが泣くと手の空いたスタッフが面倒を見てくれたり、オムツを代えてくれたりしてくれました」

社員の多くが子育て中の女性だと、かなり助かる環境になるようですね。

もっと詳しく、子連れ出勤について伺いました。

――子連れ出勤制度は、どのような位置付けですか?

山内「小さい子どもがいると働ける時間も場所も限られていますが、社員のみなさんには少しでも子育て以外でやりがいを感じ、社会の居場所として実感してもらえたらと思っています。

会社に連れて来なくてはならないほど、子が小さい時間は限られています。

あっという間に小学生になり、手が離れていくので、子どもが小さいうちは子ども優先のできる範囲で、柔軟に長く仕事を続けてもらうと、そのうちに、たくさんのことを頼れる存在になりますので、会社にとってもありがたいです」

――子連れ出勤について、課題に感じていることはありますか?

山内「弊社の場合は、長時間の子連れ出勤ではないので、子どもが飽きてしまうというようなことはないのですが、時期によってスタッフたちの子どもの体調不良等が続き、納品が延びる商品が重なるときは、小さい子どもがいるスタッフを雇用していることへのリスクを感じることはあります」

――子連れ出勤について、会社としての今後の展望をお聞かせください。

山内「それぞれの企業で1つの保育所を持つほど必要でない場合、地域の中小企業で支援し合い、合同の保育所を持てたら良いなといつも思います。

自宅の近所に子どもを預けてから電車に乗って通勤するのも大変ですし、子どもが体調不良のときなども、家に戻るのに時間がかかりますが、会社の近くで、昼休みには見に行くこともてきるくらい近くに保育所のある環境で仕事ができたら、働くママたちは安心なのではないかと思います。

子連れ出勤はどんなに頑張っても、子なし出勤よりは仕事がはかどりません。ですから、会社の近くまで『子連れ』で、短時間でも預けられる場所があれば、集中して仕事を終わらせることができるのではないでしょうか」

今後は、子連れ出勤は、会社の近くの保育所まで、という効率的かつ親も子も安心できる環境も、複数の企業で検討されていくのかもしれませんね。