©劇場版「MARS~ただ、君を愛してる~」製作委員会

運命の出会いはジャニーさん!

――今作でも登場人物にとっていろんな運命の出会いがありますが、藤ヶ谷さんにとっての運命の出会いはなんでしょうか?

藤ヶ谷:
やっぱりジャニーさんなんですよ。いまだに誰が事務所に履歴書を出したか、自分でも知らなくて。でも二十歳くらいで探るのをやめました。知らない方が面白いのかな、と思うようになりました。

オーディションに行ったけど、受からなかったんです。ホワイトボードに受かった人の番号が貼られていって、その日は友だちと遊ぶ約束もしていたので、自分の番号が貼られないで欲しいって心の中で祈っていたのを覚えています。

なんか振付けの先生がすごく怖かったんです。昔からヤンチャしてて、先生や親とか知っている人からはたくさん怒られてたんですけど、知らない人に怒鳴られるという経験がその時までなくて。踊ったことないのに踊れとか、「ヘタクソ」って言われたり、子どもだしよくわからないじゃないですか。

だから友だちと遊ぶ約束もしてるし、自分の番号が貼られなくて、「よっしゃ!!」と喜んで帰ろうとしたんです。借りたナンバープレートがあったので「これはどこに返せばいいんですか?」って聞いたら、「YOUは初日に僕に話しかけるなんてすごいよ」って言われて、ホワイトボードに僕の番号プラスされちゃったんですよ。

それで僕半泣きになっちゃって。半泣きになりながらスポーツドリンクを飲んでいたのを覚えてます(笑)。まだケータイもないし、親にも友だちにも連絡できないし、知らないところに入れられて、この怒られるのがまた続くのか、と思うと本当に嫌で。でもそのジャニーさんとの出会いが今すべてに繋がっているんじゃないかなと思います。

――メンバーとの出会いはどうですか?

藤ヶ谷:
キスマイは、年齢もそれまで組んでたグループも違うメンバーの集まりなんですよ。事務所の中で次々にグループがデビューする中、集められていった。だからそういう意味では下積み時代が長かったのでハングリー精神がありますね。

でもキスマイでデビューだって言われてからも全然デビューできなくて。今はエリートコースじゃないところが僕らの良さなのかなって思います。デビューして順調ですね、とか言われるんですけど、特にデビュー前はそんなこともなくて、なんか腐ってましたね。反抗期みたいな(笑)。何にも怖いものがなかったし、なんでも自分たちが一番出来てると思っていた時期がありました。

――そういう辛い時期があったから良かった?

藤ヶ谷:
今となってはそんな気はしますよね。すごい態度も悪かったし。だってどうせデビューできないしって、そんな感じの時がやっぱりあるんですよ、下積みの時って。

――そのときの経験が今、演技で活かされてたりはしますか?

藤ヶ谷:
演技には、まったく活かされてないですね(笑)。でも19歳くらいの時だったんですけど、ドラマをやらせてもらったときに、自分のことを誰も知らなくて。ジャニーズJr.の中ではキャーキャー言われていたし、チヤホヤしてもらっていたので、みんな知ってくれていると思ってたんですよ。だけどその世界から外にでたら誰にも知られてなくて。

そのときに、「僕らのことって誰も知らないんだ」ってわかったり、お芝居に対しても自分たちでは上手いと思っていたんですけど、やってみたら全然違った。その経験から、芝居ってこうなのかな、歌や踊り、バラエティってこうなのかな、ってきちんと学ぶようになりました。「僕上手いな」って思っていたものが全然そうじゃなかったっていう(笑)。

――そういった経験を経て、今ドラマや映画に出演できている嬉しさみたいなものはありますか?

藤ヶ谷:
まずジャニーさんとの出会いもあったし、例えばそこで腐っちゃってJr.を辞めていたら、今『MARS』に出てないな、とよく考えるときもありますね。この作品で運命の出会いを聞かれるようになって、改めてジャニーさんやメンバー、ファンのみなさんなど、細かい出会いの積み重ねがたくさんあることを考えさせられました。