2010年4月1日にNTTドコモがAndroid搭載スマートフォン「Xperia SO-01B」を発売してから2年。それ以前は、スマートフォンといえばアップルのiPhoneの独壇場だったが、複数のメーカーが開発するAndroid搭載スマートフォンが台頭し、最近はiPhone対Android陣営という図式になっている。iPhoneも、一社独占販売が崩れた「iPhone 4S」からキャリア間の対決に注目が集まり、今年4月までの累計ではソフトバンクモバイルが約6割を占めている。

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2012年4月のスマートフォンの販売台数は、集計開始以来、過去最大を記録した3月には及ばなかったものの、前年同月比191.9%と、前年を大きく上回った。一方、従来型の携帯電話は、2011年11月以降、前年の半分以下という状況が続いていたが、4月は前年同月比63.0%と少しだけ盛り返した。4月の月間販売台数に占めるタイプ別構成比は、スマートフォンが72.5%、従来型携帯電話が27.5%。スマートフォンの販売比率は、3月の77.8%から5.2ポイント下がったが、それでも過去3番目の高さだった。

●1位・2位は3月と変わらず、「GALAXY Note」が10位に初登場

SIMフリー端末を含む携帯電話全体の4月の販売台数1位は、前月に引き続き、NTTドコモのAndroid搭載スマートフォン「Xperia acro HD SO-03D」。2位は、前月と同じくソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」の16GBモデルで、3位には前月6位だったauの「iPhone 4S」の16GBモデル、4位には8位だったauの「Xperia acro HD IS12S」が入った。また、NTTドコモの「らくらくホン ベーシック3」が9位に浮上し、4月発売のGALAXYシリーズの新モデル「GALAXY Note SC-05D」が10位にランクインした。

●「iPhone 4S」と「Xperia acro HD」の2強でスマートフォンの半数を占める

4月は、3月以上に「iPhone 4S」と「Xperia acro HD」に人気が集中。この2機種だけで、携帯電話全体の販売台数の34.2%を占め、スマートフォンに限ると、ほぼ半分近い47.2%を占めた。どちらも、これまで培ってきたブランド力と安心感、そして「実質負担額」として示される端末価格の安さが人気の要因だろう。

容量ごとに別々にカウントしている「iPhone 4S」をキャリアごとに合算すると、ソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」がトップに躍り出るが、2位の「Xperia acro HD SO-03D」との差はわずか0.02ポイントだった。ほぼ同率1位といいだろう。ただ、「iPhone 4S」のソフトバンクモバイル版とau版の合計と、ドコモの「Xperia acro HD SO-03D」と「Xperia acro HD IS12S」の合計を比べると、両者の差は4.2ポイントに開いた。

週次集計では、ドコモの「Xperia acro HD SO-03D」は、発売日を含む3月第2週(2012年3月12日~18日)から5月第1週(5月7日~5月13日)まで、9週連続で機種別1位を獲得している。すでにソニーモバイルコミュニケーションズは、日本市場向けにおサイフケータイやLTEに対応した新モデル「Xperia GX」「Xperia SX」を発表しているが、現時点までの情報によると、これら2機種は「Xperia acro HD」の最大のウリである防水に対応していない。防水にこだわるなら、「Xperia acro HD」は買いだろう。

●1位は3キャリアとも変化なし、初めてトップ10入りする機種も

続いて、主要3キャリア、ドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクモバイルのキャリア別月間トップ10を紹介しよう。なお、ここからは、通常、容量ごとに別々にカウントしている「iPhone 4S/4」の各機種を合算し、1機種としてカウントしている。

ドコモは、総合でも1位だった「Xperia acro HD SO-03D」がトップ。前月2位だった「GALAXY NEXUS SC-04D」は17位にダウンし、代わって「MEDIAS ES N-05D」とシニア向け端末の定番「らくらくホン ベーシック3」が順位を上げた。

auは、「iPhone 4S」がシェア28.5%でトップ。昨年10月以来、7か月連続で1位を獲得しており、iPhoneとAndroid端末を併売する戦略は想定以上の成功を収めたといえるだろう。10位には、「WiMAX」に対応するグローバルスマートフォン「HTC EVO 3D ISW12HT」が初めてランクインした。

ソフトバンクモバイルも、前月までと変わらず、「iPhone 4S」がトップで、3位・4位には、キャンペーンを適用すると2年間基本使用料0円で利用できるブザー付き携帯電話「みまもりケータイ」と、4月発売の後継機種「みまもりケータイ 2」がほぼ同じシェアで並んだ。

●夏モデルで画面サイズの大型化が進む?

振り返ると、4月は約5.3インチの大画面、付属のタッチペン(Sペン)での操作を前提とした新しいスタイルを打ち出した「GALAXY Note SC-05D」の発売以外、端末に関する目新しい話題はなかった。4月6日の発売で月間ランキング10位、ドコモ内で5位という結果は、「ノート」という独自のコンセプトが受け入れられた証といえるだろう。

iPhoneは、初代以来、画面サイズを変更していない。モデルチェンジを重ねても、一貫して3.5インチのままだ。一方、Android搭載スマートフォンは、全体的に画面サイズの大型化が進んでおり、一部を除いておおむね4インチ台。これ以上の大画面化は、ポケットに入らない、片手で操作できないなどの理由で好ましく思わないユーザーもいるようだ。

KDDI(au)、NTTドコモは、5月15日・16日にそれぞれ新製品発表会を開催し、2012年夏モデルとして、さまざまなスマートフォンを発表するとみられる。発表内容によっては、いまの「iPhone 4S」と「Xperia acro HD」の2強体制は、すぐさま崩れるかもしれない。どんな端末が発表されるか楽しみだ。(BCN・嵯峨野 芙美)

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