V系ファンなら誰しも知っている雑誌『ROCK AND READ』(通称:『RR』)。2004年の創刊から早10年以上、「V系ミュージシャンのロングインタビューのみを掲載する」という変わらぬ特殊な構成で、愛され続ける『RR』の吉田幸司編集長にお話を伺いました。

――まず、『ROCK AND READ』(通称:『RR』)って、扱っているジャンルも構成もかなり独特な雑誌だと思うのですが、どうしてこの形でやってみようって思われたんでしょうか?

吉田幸司編集長(以下、吉田):矢沢永吉の『成りあがり』みたいな、読んで人生を考えさせてくれるような本をヴィジュアル系で作りたいって思ったところからスタートしました。

普通雑誌ってガチャガチャした誌面の感じとか、そういう面白さがあるじゃないですか。でも『ROCK AND READ』はそこを一切省いて、思いっきり文字に振り切っていますね。とにかく文字を読んでもらう雑誌にしたかったんです。

でも、これがなかなか難しいんですよ。雑誌を作ってる人間って、誌面デザインを凝りたくなるじゃないですか。それを一切やらないという。ある意味腹をくくってますね。

――確かに『ROCK AND READ』は普通の雑誌のインタビュー掲載の仕方と違って文中に小見出し等が一切なくて、リード文のページも文字のみで……。「文字のぺージはとことん文字!」というか。

吉田:そうですね。立ち読みで終わらせない誌面というか、「これは持ち帰ってじっくり一万字読まないと駄目だぞ……!」って思わせる紙面の作り方を意識してます(笑)。小見出しとかがあると、なんとなくの内容はわかるけど、じっくり読むことの妨げになったりするのかなと。

とにかくロングインタビューと写真のみってところにこだわってるので、編集後記すら載せてないんですよ。でも読者の方から編集後記のリクエストを結構いただいたので、取材の裏話みたいなことはブログで書いています。

――なぜ数ある音楽ジャンルの中から、ヴィジュアル系を選んで本を作ろうと思われたんですか?

吉田:2004年に休刊になってしまった『バンドやろうぜ!』って雑誌の編集をしてたんですが、取材でヴィジュアル系の人たちに会う機会が多かったんです。それで思ったんですけど、ヴィジュアル系の人たちって話が面白いんですよね。普通の雑誌の簡単なインタビューではもったいないな、と。

あと、『バンドやろうぜ!』は楽器について聞くソロインタビューが多かったんですが、バンドの集合インタビューではあんまり喋らないドラマーやベーシストがソロだとめちゃくちゃ面白かったりして(笑)。その辺が自分の中でミックスされて、やってみようと思ったんですよ。