「SUMMER BAZAAR ~夏の終わり~」稽古場より (画像左から)佐奈宏紀、谷水力、井澤巧麻、平野宏周、丸山隼 撮影:梁瀬玉実

サンミュージックに所属する若手男性俳優11人で構成されるユニット「SUNPLUS」の第1回舞台公演「SUMMER BAZAAR ~夏の終わり~」が10月18日(金)に開幕する。その稽古場に潜入した。

【チケット情報はこちら】

脚本を宮本武史、演出を赤澤ムックが手掛ける本作は、メンバーのために書き下ろされた会話劇。舞台は男子校の寮。夏休みが始まり生徒たちは実家に帰省するなか、居残った生徒数名が、寮の伝統行事「サマー・バザー」に駆り出される。そのなかで、登場人物それぞれが抱える不安や悩み、そして一歩を踏み出すまでの葛藤が描かれるストーリー。それぞれ演じるのは、井澤巧麻、佐伯亮、佐奈宏紀、谷水力、山形匠が高校2年生の役。平野宏周、丸山隼が教師の役。水田達貴が寮の管理人の孫の役。野口準が井澤の弟役、三井理陽が佐奈の親戚役、そして蒼木陣が谷水の兄役だ。

取材日は、稽古が始まって一週間ほどたった頃。2015年に結成し、長らく活動してきたメンバーは、休憩時間の和やかな様子からもチームワークの良さが伝わってくる。稽古開始するまで、それぞれ台詞の読み合わせをしたり筋トレをしたりと楽しそうだったが、赤澤の呼びかけで芝居が始まると空気は変わった。

若手俳優のユニットが演じる男子校の寮の話…というとまずは爽やかで楽しい青春ものをイメージしがちだが、本作はけっこうな重さを持つストーリー。生徒たちは家族との不和や、過去のトラウマ、DVなどさまざまなものを内に秘めたまま、寮で過ごしている。クラスも違い、そこまで仲がいいわけでもないという彼ら。しかし、個室のエアコンが壊れたことによって広い部屋で寝泊まりすることになって、物語は動き出す。ふとしたやり取りの中でも、抱えた事情が見える人、見えない人、ふと見え隠れする人など、それぞれの性格と背景を丁寧に表現していくキャスト達。そこに赤澤が「もうちょっと感情隠せる?」「その芝居だとこういう関係性が見えない」と調整を入れていく。まだ稽古は始まったばかりだが、辛いDVシーンなども遠慮なく芝居できているのだろう。生々しく、観ていて引き込まれた。このメンバーだからこそ深まっていくものが、これからたくさんあるのだろうと感じさせる稽古場だった。

メンバーの中でも若い平野が先生役を務めたり、佐奈がやたらとモテる役だったり、どんな部分がどう生かされているかを想像するのも楽しそうだ。そんなSUNPLUS第1回公演「SUMMER BAZAAR~夏の終わり~」は10月18日(金)から27日(日)まで東京・新宿村LIVEにて上演。

取材・文:中川實穗